□ マスク問題 ≒ コミュニケーション問題


広島市西区のなかよし保育園です。保育士たちはマスク生活が始まって以降、「伝わりづらさ」を感じているといいます。


保育士 田中香菜子さん
「あやし遊びとかをするんですけど、『いないいないばあ』とか。マスクがないときは目と目がすぐ合って、心が通って、笑ってくれている感じがあったが、(マスク着用後は)ここだけの表情しかないから、全然わからなくて、不思議な目をされたり。(子どもが)表情を読み取るのがすごく難しいとは思う」


保育士 小西幸子さん
「(以前は)保育士が楽しんでいる様子をまるごと受け取っていて、それは表情全部から伝わっていたものがあるのかな。(対策として仲間と)もう120%、ここで表現すると(決めた)。こうやって笑って『楽しいね!』って」

この保育園では、さまざまな対策をとっていますが、この「伝わりにくさ」については子どもたちの将来を懸念する声があります。


県立広島病院 小児感覚器科 益田慎医師
「少し遠い先におそらく5年~10年先ですが、一気に学力が落ちるんじゃないかと今、懸念しています」

□ 「マスクのせいで学力が落ちる!?」


益田医師が特に懸念しているのは、大人のマスク着用が幼い子どもたちの言語能力に影響するのではないかという点です。


益田慎医師
「おそらく、みなさんが思っていらっしゃるのは、言葉=コミュニケーションです。ではなくて、われわれの発想は、コミュニケーションの中の言葉なんです。今、問題になっているのは、“コミュニケーションそのものがうまくできていない”。声は聞こえているから、言葉のやりとりはできているけれども、顔・表情、誰がどういうふうに一連の行動の中で何をしゃべったのかという、しゃべる前の段階 “非言語コミュニケーション” がきちんととれていないのではないかという懸念」


一般的に人は言葉だけでなく、表情や身振り・手振り、声のトーンなどを含めてコミュニケーションをとっています。益田医師によりますと、そういった非言語のやりとりがあってこそ、言葉をしっかりとつかむことができるんだそうです。


ところが、マスク着用により表情が見えづらくなるなど、やりとりは「言葉だけ」に頼りがち…。益田医師は、結果として子どもらが言葉を体得しにくい状況ができてしまっていると指摘します。