「元々あった損傷が水の圧力に耐えきれず一気に決壊した」

笹川平和財団 畔蒜泰助 主任研究員
「この問題(ダム決壊)が出る直前に、西側のメディアやジャーナリストがSNSで発信していたんですが、今回、水が一挙に流れ出す前に、既にダムの一部で水が流れていた。相当漏れていたいう話がある。とすると、元々あった損傷が水の圧力に耐えきれず一気に決壊したという可能性も否定できない。」

破壊ではなく自然崩壊。この説については、アメリカCNNがダムの衛星写真を公開している。6月1日、2日、4日、そして6日の4枚の写真だ。これを見比べると、6月1日の写真に写っているダムの一部が、2日の写真ではなくなっているように見える。4日にはその部分の水かさがさらに増している。6日は完全に決壊している。ロシアにしろウクライナにしろ少しずつ破壊するという破壊工作は聞いたことがない。

因みに22年10月、ロシアの民間団体が、ダムが決壊した場合の洪水シミュレーションを作成している。それによるとロシアが支配するエリア大部分が被害を受けることが伺える。となると、畔蒜氏の指摘する水圧による決壊の可能性に信憑性が増す。

しかし、アメリカはロシアの仕業であると確信しているという。

明海大学 小谷哲男 教授
「バイデン政権は、ロシアによる爆破が原因であることはほぼ間違いないと…。すでにそのインテリジェンスは持っている。本来なら火曜日に公開する予定だったんですが、出ていない…」

発表を控えているのは動機がはっきりしないからだという。渡河作戦の妨害にしてはロシア側に被害が出過ぎているので結論が出せないのだとという。一説には、もう少し小さな破壊をするつもりが、元々損傷があり、大きく決壊してしまった、ロシアの“読み違い”だという。

今回のダムの決壊によって、ウクライナの反転攻勢にどんな影響が出るのだろうか?しかし、前出のダニロフ書記は“影響ない”と語った。

国家安全保障国防会議 オレクシ・ダニロフ書記
「彼らがこのテロを起こしても、私たちは領土を解放するのを止めません。反転攻勢は最高司令部の会議で決定される時間枠と方向で進められます。反攻にはいくつかの選択肢があり状況に応じて必要な行動を取ります」

(BS-TBS 『報道1930』 6月8日放送より)