陣地を作り、塹壕を作り、地雷を埋め…十分備えていた。それがほとんど水に流された

ダニロフ書記は“実行犯はロシアだ”主張した上で、破壊した理由について語った。

国家安全保障国防会議 オレクシ・ダニロフ書記
「ロシアが何故ダムを破壊したのはわかっています。ウクライナ軍がドニプロ川周辺での反転攻勢を開始するのを阻止するためです。そのためにテロが実行され、その命令はモスクワ・クレムリンから来たものと確信しています。ゼレンスキー大統領やザルジニー総司令官、国家安全保障国防会議の全メンバーの反応は一致しています。しかし、このような方法でロシアが私たちを止めることはできません。」

ウクライナ側の言い分とロシア側の言い分は真っ向から食い違っている。

ウクライナの軍事専門家は、政府高官らと同様に「ウクライナの渡河作戦とクリミア侵攻を妨害するためにロシアがダムを破壊した」と言う。一方、プーチン氏は「ウクライナ当局が西側諸国の提案に基づき戦争犯罪を犯し、テロ手段を公然と用いた。その明確な例がダムを破壊する野蛮な行為だ」と発言している。

この状況に対し、トルコのエルドアン大統領は第三国、国連などからなる調査委員会を設置して事態の解明をすべきと提案している。

元防衛大臣 森本敏氏
「これほど大きな被害をウクライナ側の社会に与え、たくさんの人が被害を受けている実態からウクライナがやったとは到底思えない。で、ロシアの言ってることは相手がやったと言いながら根拠を示さない。なのでこのまま言い分を受け止めるわけにはいかない」

大半は森本氏と同様の受け取りだろう。しかし、笹川平和財団の畔蒜氏は“あえて”とつけつつ別の可能性を語る…。

笹川平和財団 畔蒜泰助 主任研究員
「今回実はロシア側の支配地域が甚大な被害を受けている。(ロシア側が占拠しているドニプロ川の南側は)低い地域で水が多く流れる。しかもロシア側は反転攻勢に備えドニプロ川東岸からクリミアにかけて、実は相当陣地を作り、塹壕を作り、地雷を埋め…。言ってみれば渡河作戦あるいはウクライナの反攻に十分備えていた。それが今回水が来てほとんど流されてしまったという報道も出ていて、本当にロシアにとって軍事上プラスなんだろうか…という疑問はある。」

つまりロシア軍側に多大な悪影響が出ているので、破壊はウクライナ側の仕業と畔蒜氏は見ているのか聞くと、”違う”という。