■原因はベルトの切断 26日に再び引き揚げへ

えい航中のKAZU Iは
▼作業船から吊り天秤までのワイヤー
▼船体そのものを支えるベルト
▼船体が回転しないように固定する前後のワイヤー

で支えられていました。



海上保安庁によりますと、船体を支えていたベルトは、5本ありましたが、このうち後方の2本が切れていたといいます。


元海上自衛官の水難学会・安倍淳副会長は。
「水中に船をぶらあげたまま水中曳航という方法がとられました。船の振動もさることながら、抵抗のある船が水の中を吊られて進むわけですから、ベルトが船底の鋭利なところに振動であたって、すり切れて破断するということはあるというふうに聞く。そのような現象が起きたのかなと」



作業船は、再び海底から船体を吊り上げる作業に取り組みますが、今度は潜水士による「飽和潜水」を行わず、無人潜水機で作業を進めるということです。

26日には、再び船体を引き揚げ、27日に網走港に入港する予定だとしています。

■船体の落下、今後の捜査への影響は・・・


一方で、今回の船体の落下は、捜査への影響も大きいと海難事件に詳しい弁護士は指摘します。

海難事件に詳しい 中村浩士弁護士
「船長および社長の過失を裏付けるためには、やはり事故原因の特定が一番重要になります。目撃者が全く不在ですし、船体・傷の状況、それからエンジン等の機器の状況、こういったものが最大の重要な証拠になってきますので」


仮に、沈没の主な原因が気象条件や高波による影響だったと判断された場合は、当時注意報がでていた中で出港判断をした桂田社長も、業務上過失致死の疑いに問われる可能性があるといいます。

もし、今回の落下によって船体に新たな傷ができた場合の影響は。

中村浩士弁護士
「(落下前に撮影された船体の)画像がどれだけ鮮明に撮れているかにもよるが、事故当時にあった傷であるということの特定ができなければ、社長の過失を問う事への重大な妨げになる可能性はありうるかなと思う」

また、国土交通省は24日、運航会社「知床遊覧船」の事業許可を取り消す方針を決めました。事故を受けての許可取り消しは、前例がありません。6月14日に知床遊覧船から釈明を聴いた上で、正式に処分が決定します