子2人を亡くした遺族…『犯行現場となった自宅のローン』に苦しむ生活
犯罪被害者が訴える不条理な実態。家族を殺害された遺族はさらに厳しい現実の中にいた。長野県坂城町の自営業(事件当時)の市川武範さん(57)。
2年前、職場から帰宅すると、長女の杏菜さん(事件当時22)と次男の直人さん(事件当時16)が自宅の中で倒れているのを見つけたという。2人は自宅に押し入った見知らぬ暴力団組員の男に拳銃で撃たれ死亡した。男もその場で自殺している。
(市川武範さん)
「息を引き取るまでの間に『もう頑張らなくていいよ』なんて思ったり。でも、生きようとしている、その杏菜に『もう頑張らなくていいよ』なんて、『そんな薄情な父親でいいのか』なんて自分を責める気持ちがわいたり」
突然2人の子どもを亡くし途方に暮れる中、市川さんはさらに窮地に追い込まれたという。
(市川武範さん)
「住んでいた家が犯行現場となってしまい、私たちは自宅に戻ることができなかった。町営住宅を提供してほしいという依頼をしたんですが断られてしまった」
暴力団組員が絡んだ事件だったことから、自治体から公営住宅の提供を拒否されたというのだ。
事件直後は警察が用意した宿泊施設に身を寄せ、新たな住まいが決まったのは事件から2週間後だった。そして、また問題が浮上した。生活の困窮だ。自営業だった市川さんは、事件後から無収入の状態が続いている。
そんな中、住むことができなくなった自宅のローンが重くのしかかっているのだ。
(市川武範さん)
「今も金利のみ支払っています。ですから元本が全然減っていないので、総支払額はかなり増えてしまう。犯人が死んでいる以上、損害賠償請求をする相手がいない。一体どうしたらいいんだろうと」