これまでの群発地震と比べても「今回の地震は稀なケース」収束は数年スパンか

ーー2020年12月以降の能登半島での一連の群発地震の中で、5月5日の地震はどういった特徴を持っていると言えますか?

「震源がこれまでの地震よりも少し北側で海域にあります。これまでの活動も海岸線からやや北側にはのびていたのですが、5日の最大震度6強の地震、同日夜の最大震度5強の地震は、いずれも海岸線より北側で起こっています。少しずつ活動域が北側に移っていることがわかります」

ーー5日にあった最大震度6強、マグニチュード6.5の地震は大きい部類に入りますか?

「ほとんどの群発地震では、マグニチュード6は最大でも5.4~5.5程度なんですね。そうした意味でマグニチュード6.5の今回の地震は稀なケースと言えます。マグニチュードの大きさを考えると、10㎞四方の断層が地下で動いたと考えられます」

ーー今後同様の大きな地震が能登半島で起きた場合、津波が起きる可能性も否定でないのでしょうか?

「否定できないと思います。今回の地震では、津波の被害の心配ないという発表がありました。しかし、まだ速報値ではありますが、輪島港で10㎝の津波が観測されたという報告があります。マグニチュード7クラスの地震が、海底面までつながるような大きな断層で発生すると、津波の発生も危惧されます。沿岸部に近い所で地震が起これば、おそらく数分以内に津波が押し寄せてきますので、大きな地震が起こった際にはかなり注意が必要です

ーーマグニチュード7クラスの地震の発生も当然考えられますか?

「能登半島の北側の沿岸部には活断層帯が存在しています。活断層が存在するということは過去にそれなりの規模の地震が発生してきたことを示していますので、今後マグニチュード7クラスの地震が起きる可能性も十分あります

ーー群発地震がいつ収束するかを予想するのは難しいのでしょうか?

「やはり難しいですね。能登半島での群発地震がすぐに収まるとは考えにくいと思います。どのくらい継続するかは現時点ではわかりませんが、少なくとも1年から2年、長いと数年のスパンで考えておいたほうがいいと思います

雨で地盤が弛んでいる箇所もあり警戒が必要

ーーいま地元の住民や現地に滞在している方が気を付けるべきことは何でしょうか?

今後も5日と同程度の規模の地震が起きる可能性がありますので、地震への備えは十分取っていただきたいと思います。特に夜ですね。寝室で倒れてくる物がないかなど、たとえこれまでの地震では大丈夫だったとしても、次に大きな地震が来たら倒れてこないかいうことを再確認していただきたいと思います。あわせて、数日分の水や食料の確保や、携帯電話の充電、モバイルバッテリーの準備は必須です。雨が続いている現状では、地盤が緩むなどして、さらに大きな揺れが襲った時に崩れてしまうことも十分考えられますので、安全な場所への避難など、事前に十分考えて行動していただきたいと思います」