「流体」は「阪神・淡路大震災」や「熊本地震」の震源域の下にも存在

ーー能登半島では2007年にも死者1人・負傷者300人以上を出した地震(マグニチュード6.9)が起きています。この地震も流体の活動が要因として考えられますか?

「そうですね。2007年の能登半島地震の震源域よりも深い所には、やはり流体が存在することを示す研究結果が複数あります」

ーー能登半島はあまり火山活動のイメージがないのですが、そうした場所で群発地震が起きているということは何を示していますか?

「能登半島は火山が分布していません。日本列島でこれまで起こってきた群発地震は、ほとんどが火山地域で起きていますが、能登半島のようなケースが日本列島でないわけではありません。たとえば和歌山市周辺でも群発地震があり、流体が関与していると考えられています。2016年の熊本地震や、1995年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)の震源域の下にも流体が分布していたことが分かっています。日本列島の下にはかなり広い範囲に流体が分布していることが分かっているので、そのうちのひとつが能登半島であると言えます。ただし、“流体が分布=群発地震が発生”というわけではありません。群発地震に至るまでには当然別の様々な要因が作用します」

ーー阪神・淡路大震災なども流体が関与していた可能性が高いということなのでしょうか?

「これまで日本列島ではマグニチュード7クラスの地震が複数起きていますが、それらの地震の震源域の周辺でどういった構造があるのかを調べると、大半の震源域の下で流体の存在を示すような現象(=地震波の伝わり方が遅い/電気が伝わりやすい)が見られています。内陸地震が発生する領域の下には流体があると考えていいと思います。流体が断層に入り込んできて潤滑油のような働きをすると、どこであっても大きな地震が起きる可能性は否定はできません