え、そんなことで…?健全な脳の発達のための必要な生活習慣とは

ーー具体的には、生活習慣をどうすればいいのでしょうか?

「早寝、早起き、そして、きちんと朝ごはんを食べるということです」

ーーえ、なんだか、当たり前のことで、本当にそんなに変わるのかなという感じもします。

「では少し、背景にある専門的なお話をします。健全な脳の発達には、育つ順番が重要なんです。大きく3段階あって、わかりやすいように家に例えてお話しします。

まず第一段階が、0歳から5歳を中心とした『からだの脳』を育てる時期です。

呼吸や体温調整などにつながる、生きる土台となる脳で、脳幹や間脳、脳下垂体とか、扁桃体という脳の原始的な部分、人間の脳の根幹を成している神経細胞たちなんですね。これは家でいうと、1階部分にあたります。

第二段階が、1歳から18歳を中心に『おりこうさんの脳』を育てる時期。大脳新皮質で、勉強やスポーツに関わる脳です。家で例えると、2階部分になります。

そして、第三段階が『こころの脳』で、前頭葉にあたり、想像力や、判断力などに関わります。家で例えると、1階と2階を繋ぐ階段です。ここを伸ばしていく時期は10歳から18歳頃です。

さて、良い生活習慣、特に強調したい早寝、早起き、朝ごはんは、1階部分の『からだの脳』を育ててくれます。この神経細胞たちを、ちゃんと縦横無尽に5歳までに伸ばしておかないと、第二、第三段階で、知恵や知識が入ってきたとしても、それを統合する能力が足りなくて、その後の学習や、前頭葉という一番高度な脳の機能にも影響がでてしまうのです。

1階部分が小さくて、2階ばっかりで大きくて、バランスが悪い家を想像してください。子どもの脳の状態がそうなっていると、ちょっとしたことでも動揺し、壊れやすいことがイメージできるかと思います」