「今日は何を書こう…」保育園の連絡帳を前に悩んだ経験がある人は多いだろう。朝夕、何を食べたか、今日の様子はどうか…忙しい朝に、さして変わらない状況を書き続けることはなかなか大変な作業だ。いったい、連絡帳への細かい記入はなぜ必要なのだろうか?調べてみると、連絡帳の大切な役割が見えてきた。

“手抜き”にならないように、毎朝奮闘した日々…

筆者の息子は、この春保育園を卒園した。息子の成長を喜ぶと同時に、もう一つ心躍ったことがある。それはずばり、連絡帳からの解放だ。思えば、どんなに忙しい朝でも書き続けた保育園の連絡帳。特に乳児期の食事欄とコメント欄への記入には、毎日、毎日、悩み続けた。

食事欄には、前日の夕食と朝食に子どもが何を食べたかを書く。手抜き料理だと思われないよう、品数を多めに出し、果物も…など、連絡帳に書くことを念頭に置きながらメニューを考えたものだ。

また、保護者が保育園側に伝えたいことなどを書くコメント欄では、そんなに毎日変化があるわけでも、伝えたいことがあるわけでもない。とはいえ「今日も元気です」ばかりでは、やはり手抜きに見える。結果、何を書こうかと時間をかけたわりに大した内容を書けない日もあった。

もちろん、子どもの成長記録としてはとても価値があり、読み返せば当時の状況を思い出して口元が緩む。しかし、そのためだけに連絡帳を書いていたわけではないだろう。いったい保育園の連絡帳記入は、何のために必要だったのだろうか。

そもそも「連絡帳」にはどんな意味が…?

受け取る側の保育園では、連絡帳をどのように活用しているのだろうか。東浦和みどり保育園 副園長・礒部晃嗣さんに話を伺った。

ーー連絡帳はどれくらい大切なものなのでしょうか?

「すごく大切です。より良い保育をするために、とても重要なツールなんです」

ーーやっぱりそうなんですね。そうは思いながらも、やはり毎朝大変で…。前日の夕食は何を食べたかなって、連絡帳を書く手が止まることも多かったです。メニューを細かく書く理由は何でしょうか?

「不測の事態に備えるためですね。何をどのくらい食べたか把握することで、例えば病院を受診するときにお医者さんにきちんと伝えることができます。あとは排便が硬かったり柔らかかったり、色がいつもと違うなど、体調を管理する上でも大切です。『いっぱい食べました』よりかは、何を食べたのかメニューがきちんと書かれている方がありがたいですね

ーー忙しくてファストフードや冷凍食品を食べさせてるという家庭もあると思いますが、それは保育園からみてどうでしょうか?

「それぞれご家庭の事情があると思います。ただ、あまりにも手作りのものが無いご家庭の場合は、子どもや保護者へのアプローチの仕方が変わってくることもありますね。
食事欄でメニューを書いてもらうことによって、ご家庭の様子が可視化されるケースもあります。実際にあった例は、連絡帳を元に「〇〇ちゃん、朝はスティックパンを食べたの?誰と食べたの?』と聞くと『1人で食べた』『ママとパパは?』『パパお仕事、ママ寝てた』ということがありました」