取材中、かかってきた1本の電話。相手は、今も沈没原因の調査を進める、国の運輸安全委員会です。
関心を寄せているのは、元妻の車に残されていたタブレット。もし、海上のスマートフォンと同期されていた場合、沈没の瞬間の手掛かりが残されているかもしれないのです。

十勝地方の男性(50)
「(運輸安全委員会の担当官が)あした来て一緒に作業する」
「一番の(沈没)原因は天候が悪い中、そこで出航という判断をした桂田(社長)の責任」
4桁なのか、6桁なのか、パスワードはわからず、調査は続いています。男性が今、最も強い怒りを感じているのは、運航会社「知床遊覧船」の社長、桂田氏です。

十勝地方の男性(50)
「どこまで(乗客家族を)ばかにしているのか、きちんとした謝罪も説明もない、茶番みたいなふざけた記者会見で、あのあと一切何の説明もない」
事故からまもなく1年。しかし、去年5月以降、公の場で、桂田氏の事故に関する説明はありません。
《スタジオ》
堀啓知キャスター)取材をした三栗谷記者です。乗客家族の取材を通じて、何を感じましたか?
三栗谷記者)事故から1年が経つが、まだわからないことが多く、 立ち止まっている印象を受けます。多くの人が話す「時が止まったようだ」という言葉に象徴されていると思う。
野宮範子さん)VTRの中で父親が暖かい風呂に入るとごめんなと思ってしまう、親は子どもがいくつになっても守れなくてごめんと…本当にこの事故に対して責任をとるのは、誰なんだろうと感じたんですが、乗客家族が今、求めていることはなんですか?
三栗谷記者)国や運航会社の桂田社長が、あの日何があったのか、事故の検証を進めて、ちゃんと説明することだと思う。ある乗客家族は「再発防止とか、当たり前のことを言われると腹が立つ」と話していました。
満島てる子さん)家族は、この1年どんな毎日を過ごしてきましたか?
三栗谷記者)事故後、日航機墜落事故の遺族と交流を始めています、その中で聞いた言葉「日にち薬(ひにちぐすり)」というのがあるんですけど、ショックがタマネギの薄皮を一枚ずつ剥がすように時が経つごとに少しずつ薄くなっていくという言葉を信じて、つらい毎日にも、きっと意味があると思い、生きている」と話す姿が印象的でした。
シリーズ「誓いの海」第2回、第3回はこちら