神頼みをしたら目についた蓮の葉 名前も蓮にあやかって…
神頼みとは一体どういうことなのか?
開発したきっかけは、消費者から「開封時にヨーグルトが飛び散って服が汚れる」「子どもが蓋を舐めて不衛生だ」などの声を受け、メーカーからヨーグルトがつかない蓋の開発を依頼されたことだった。しかし、開発は簡単には進まなかったという。
東洋アルミニウム 広報
「最初は担当者もそこまで難しくないと考えていたようですが、撥水加工の素材や樹脂で何百種類と試しても、うまくいきませんでした」
気づけば、開発を始めて10年が過ぎていたという。「ダメだ…なんのアイデアも出てこない…」もう諦めるしかないのか、そんな悲痛な思いで開発者が向かったのは“お稲荷さん”だった。
東洋アルミニウム 広報
「神頼みのためにお稲荷さんに行ったそうです。するとお稲荷さんの隣に池がありまして、蓮の葉がありました。その葉が水を弾いているのを見た開発者が、蓋の撥水のヒントになるのではと、蓮の葉の研究を始めました」
蓮の葉には無数の繊毛があり、その繊毛と繊毛の間に空気層ができているため、水はこの空気層のクッションに支えられ、弾かれている。その蓮の葉の繊毛の凹凸をアルミ箔の表面で再現。ギラギラ・ザラザラの蓋には、顕微鏡で見ると無数の突起物が施されていたのだ。
蓮の葉から発想を得た撥水加工は、開発を大きく前進させた。蓮の葉がヒントになったため、名前は「トーヤルロータス」と名付けられた。(ロータスは英語で蓮の意味)
開発に15年。神頼みのおかげもあってか、今ではヨーグルトの約7割の蓋に「トーヤルロータス」が採用されている。東洋アルミニウムの調査によると、撥水加工なしでは内容量の4~10%が蓋についてしまうため、食品ロスの低減にも繋がっている。
「トーヤルロータス」のおかげで、毎朝ストレスなくヨーグルトの蓋を開けることができるわけか。今後、蓮を見かけるたびにヨーグルトの蓋を思い出すだろう。ストレスをなくしてくれた開発者と蓮に感謝。

















