「町に戻りたい」アンケートの回答は13%
双葉駅の西側に建設された災害公営住宅。去年10月、先行入居がスタートした。完成した25戸のうち、18戸で入居が始まっている。元々、双葉町には7000人余りの町民が住んでいた。だが現在は、60人ほどに過ぎない。
その中のひとり。志賀隆貞さん(73)。

双葉町民 志賀隆貞さん
「土間広いんです、人が多く集まったら、ここで酒飲もうと思って」
間取りは2階建ての3DK。吹き抜けの天井や、土間など、元々あった双葉の暮らしをイメージした作りになっている。震災前は、70メートル先に海がある自宅で暮らしていたが、家は津波でそっくり流された。
4年後、双葉町から100キロ以上離れた福島県西郷村に家を建て、妻と2人で暮らし始めたが、故郷が諦めきれず、去年、単身でこの住宅に移り住んだ。
村瀬キャスター
「なぜ戻ってくるという決断を?」
志賀隆貞さん
「自分が真っ先に帰って、孫や友達が来やすい町づくりに、少しでも貢献できた方がいいんじゃないかなと思って」
町などが実施したアンケートでは、復興に期待するという町民は、全体の74%にのぼる。しかし、「町に戻りたい」と回答している人は、年々僅かに上向いてきてはいるものの13%だ。

町に戻った数少ない町民の一人が伊澤史朗町長(64)だ。去年8月に避難指示が解除されてから半年以上、ホテルに住んでいる。

双葉町で生まれ育った伊澤町長。震災前まで、動物病院を開業していた。人生のほとんどを、この場所で過ごしてきた。
伊澤町長
「自分が戻らないで、職員も町民の人たちも戻ることはありえないだろうと。ここの不便さ、良いところを自分が体感、体験しなかったら説得力はないと思うんです」
しかし、町民の多くは戻っていない。その現実との狭間で苦しんでいる。
2023年1月の「はたちを祝う会」。参加者は年々減り続け、今年は11人だった。

参加した女性
「双葉に住みたいっていう気持ちは、あんまり今はないけれど、定期的に帰ってきて、双葉の街並みを忘れずにいようと思います」