日本生まれの「シャインマスカット」に韓国産やブラジル産が出回る実態

さらにHiroさんは、ある光景に驚いたといいます。

野菜ソムリエプロのHiroさん
「愛媛38号以外にも『あれ?』って思ったものがありまして。シャインマスカットって日本生まれのものですよね。韓国産とブラジル産が出回ってる状況です」

日本生まれのシャインマスカットが「韓国産」として売られていたのです。

シャインマスカットは品種改良を重ね、日本で33年かけて生み出されたものですが、韓国産のパッケージにも、しっかりと「SHINE MUSCAT」の文字が書かれています。

この「韓国産」のシャインマスカット。輸出先は「カナダ」だけではありません。「香港」や「タイ」などアジアにも広がっていたのです。

さらに、全国有数のブドウの産地岡山では、

全農岡山県本部 農産・園芸部 伊藤弘士次長
「4年前ぐらいから『岡山県産の商標ブランドの偽装じゃないですか?』という情報が。どんどんと入ってきだした」

岡山県のシャインマスカットの品種「晴王」のコピー商品が、海外に出回っているというのです。

日本産の「晴王」と、香港産の「晴王」を見比べても、一目では見分けがつきません。

全農岡山県本部 農産・園芸部 伊藤弘士次長
「非常によく似てます。もうどうしようもないのかなと」

苗木の流出止められず・・・被害は年間100億円にも

なぜ、これほどまでに海外生まれのコピー・シャインマスカットが出回っているのでしょうか?

実はこれまで、日本では苗木などを海外に持ち出すことは違法ではありませんでした。そのため、海外で盗用されても口を出せる状況ではなかったというのです。その結果「シャインマスカット」だけでも、被害額は年間100億円にも上ると試算されているのです。

また「海外産」は必ずしもおいしいとは言えず、ブランド力が低下してしまうおそれもあると専門家は指摘します。

(公社)農林水産・食品産業技術振興協会 永田明 イノベーション事業部長
「安くて品質の劣るシャインマスカットが、例えば中国とか韓国から第三国に輸出されてしまうと、シャインマスカットというブランドそのものに傷がついてしまう」

海外への農産物の輸出が増えるいま、日本のブランドをどう守るかが大きな課題となっています。

(まるっと!サタデー 2023年3月11日放送より)