加計高校に東京や大阪など全国各地から進学してきた1年生です。午後6時半すぎ、部活動などを終え、歩いて帰宅します。

生徒たちが暮らすのは、人材交流センター「黎明館」です。この学生寮は、県外から入学する生徒の数が増えたことなどに伴い、去年4月に新設されました。安芸太田町の木材も使用されているという、この建物の建設費はおよそ5億円。

多くの生徒を少子高齢化が進む安芸太田町に誘致し、地域の人たちとの交流を図ってもらおうと国の補助金も活用して町が建設しました。

寮では用意された夕食を1人ひとりが自由な席で食べます。愛知から加計高校に進学した 橋本寧々 さんです。初めての寮生活に最初は不安も大きかったといいます。

愛知出身 橋本寧々 さん
「初めは親元を離れるのがすごく不安で、ちゃんと1人でできるかなって感じだったんですけど、すごく楽しくて、毎日、友だちの部屋で遊んだり、お泊りみたいな感じですごく楽しい」

東京からやってきた 山畑飛緒 さんも寮生活を満喫しています。

東京出身 山畑飛緒 さん
「ぼく、一人っ子なんですけど、家だったら親と自分しかいないじゃないですか。ここだったら、みんないるので、兄弟じゃないですけど、そんな感じでめっちゃ楽しいです」

食事後には寮生同士でカードゲームをしたり、勉強を教え合ったりして過ごすそうです。

広島市出身 小川泰樹 さん
「時間があれば、もうみんな、友だち同士で集まってワイワイしてます。それは絶対、寮じゃないとできないことなので、やっぱり寮ならではの過ごし方っていうのをしていると思います」

兵庫出身 加治木蓮斗 さん
「テスト勉強とかあったら、みんなでここでできる。男女で仲いいんで、『来週、何の課題あったっけ?』とか」

橋本さんは、沖縄出身の 西平瑛美 さんとインスタグラムを使って、高校や寮生活の魅力発信も始めました。

沖縄出身 西平瑛美 さん
「2人で写真を選んで編集してやっています。生き物とか、こういう広い空とかは、いなかにしかないので、でっかいクワガタとか、このサイズ、都会じゃ、なかなかいないじゃないですか。すごくお気に入りです」

二川一成 校長は、生徒が主体となって魅力を発信する今の雰囲気こそが、加計高校の最大の魅力だと話します。

加計高校 二川一成 校長
「さまざまな活動を通して子どもたちが本当にここの学校に入ってよかったと思う気持ちがあって、積極的にPRしてくれて、志願に結びついてるかなという感じはします」

そのうえで、全国から集まった生徒たちが、人口減少が進む町を支える「ひとり」になることを期待しているといいます。

二川一成 校長
「(卒業後、)安芸太田町にずっと住み続けるかどうかは本人の選択ですけれども、少なくとも安芸太田町を応援しようとか、何かあったら助けようとかいう気持ちを持って卒業してくれている。そういう応援する生徒を育てたいと思っています」

統廃合の危機を若い生徒たちの発信力で脱し、ますます進化を続ける加計高校。この春、40人に合格の知らせが届きました。