生活の糧を失った漁師たちは、前を向いて挑戦を続けています。
漁師たちの姿を追いました。

「ちょうど今日で1年なんだけど…」
伊予市双海町の漁業団体、「共栄網」の副会長を務める漁師の和田直樹さん。
「奇しくもちょうど1年でまたこの風っていうね」

強風で船が流され瞬く間に延焼。焼けた漁船は21隻に上りました。
火災から10日後、和田さんは港を訪れました。
「だいぶきれいになっている。ちょくちょく油はうっすら浮いとるのう」
10隻あった共栄網の漁船のうち火災で残ったのは2隻のみ。
「8億、7億ぐらいの被害があるとされている」(和田さん)

「修理できるものは修理して使わないといけないし、残せるものは残さないといけないし」(和田さん)
復旧のための費用を少しでも抑えようとしていました。船を新たに作るとなれば1隻あたりおよそ4000万円。保険金の500万円ではとても賄えません。
(共栄網・和田幸男会長)
「(団体の余剰金として)600万円は余分に持っていた。これを出して生活費に20万円ずつ回したらその代わり来月以降の支払いが完璧にストップする」
地元の漁師や家族らおよそ40人が働く共栄網。
イワシ漁が盛んな伊予灘で年間200トン以上を水揚げし、イリコなどに加工し出荷してきました。
しかし、漁に出られず一時、収入が絶たれました。

「一番大事なのは何かって言ったら生活なんよね。結局目の前の生活がしんどい、子供がたくさんいる若いやつらもいるし」(和田さん)
和田さんたち漁師は、強風によって拡大した火災を災害として認定してもらい、復興への支援を受けたいと願っていました。
しかし、消防が結論付けた出火原因は不明。
(伊予市の担当者)
「漁船の廃棄、それらの処分費にかかる費用の4割を上限とした予算計上」
公的な支援にも限界がありました。