片づけられないのは気持ちと一緒
自宅にある仏壇の横には小柳さんが使用していたスマートフォンとメガネが遺品として置かれていた。スマホは傷だらけの状態になっていて、事故の激しさを物語っている。
また、小柳さんの部屋は、ほとんど当時のままにしているという。テレビやベッド、テーブルの上には卓上鏡や文房具などがきれいに並んでいた。クローゼットには20着ほどの上着がハンガーに掛けられ、その棚には昔から好きだったというプラモデルの箱が10箱以上、積み重ねられていた。

小柳さんの姉:「捨ててしまうのは寂しい。片づけられないのは気持ちと一緒で、弟がいないからといって終わるという行動はできない状況です」
小柳さんの母:「本当に素直で(周りから)憲ちゃんは優しいって言われて、友だちを大事にする人でした。あの日も朝、仕事に行くと言っていつものように出かけ、まさかこんなことになるとは思わなかった。生きていたらどんなことしたいのだろうか…」
相手のことは…訴え続けて結果に
この事故をめぐり当初、大分地検は相手の男を過失運転致死罪(懲役7年以下)で起訴したが、遺族は刑罰の重い危険運転致死罪(最長懲役20年)の適用を求めておよそ2万8000人分の署名を集め、地検に提出した。
その後、大分地検は再度、現場などを調べた。その結果、当時19歳の男が進行を制御することが困難な高速度で車を走行させるとともに、右折する自動車の通行を妨害する目的で交差点に進入、小柳さんの車に著しく接近させたと判断。去年12月に起訴内容を「危険運転致死罪」に変更する異例の決定をした。

小柳さんの母:
「本当にみなさんのおかげです。日本全国の方に支えてもらい息子も喜んでいると思います」

事故から2年を迎えた9日。小柳さんの母と姉2人が現場を訪れ、事故が発生した同じ時刻の午後11時、静かに手を合わせた。