国民は“文明の戦い”だと理解「素早い勝利への期待は甘い考えだった」
ーー特別軍事作戦が長引いたので社会が失望したといいますが、特別軍事作戦はあっという間に終わり、すぐに勝利できると社会が思っていたのですか?
はい、そうだと思います。この軍事作戦は数週間か、数か月で、勝利できると大半の国民が思っていました。あのような絶望的で激しい抵抗に直面したのは想定外でした。しかし勝利したいという気持ちは変わっていないという点がとても重要です。
勝利への期待はより現実的になりました。国民はこの対立の規模を理解し始めました。これは限定的な反テロ作戦や領土の統合ではなく、文明の戦いだということを国民が理解し始めたのです。特別軍事作戦の目的を国民も政府も理解している通り、多極世界の構築であり、ロシアは中国やイスラム諸国や南米諸国等と同様に独立した極になります。
国民はこの紛争、この対立の本当の目標を理解すればするほど、素早い勝利への期待は甘い考えだったことを理解し、一極集中の世界と多極世界との戦いである長期的で大変な戦争に準備しなければならないということを理解します。
「ロシア政権はオリガルヒを信用しなくなった」彼らは無能で、愛国心が不十分
ーーなぜ素早い勝利が出来なかったと思いますか?
ロシアは欧米文明全体との対立に準備していなかった。欧米とNATOに近づこうとするウクライナは、ロシアを攻撃する準備をしているとロシアが思っていた。2月24日に我々が行った先制攻撃によって敵は混乱し(負ける)と思っていました。
この紛争は地域限定の紛争だと、ロシアは思っていました。ウクライナのNATO加盟に反対しているというレッドラインをロシアが表明したにもかかわらず、キエフ(政権)は耳を傾けようとせず、攻撃的な方策を続け、ドンバスの民間人への攻撃を続けた。
ロシアは電撃戦によってさらなる展開を防ぐことにしました。しかしキエフのオリガルヒがロシアに協力するという期待は過大であった。
特別軍事作戦開始前に交渉を進めたであろうメドベドチュクや他のキエフのオリガルヒへの期待は叶わなかった。当初の計画では限定的な軍事作戦を行い、キエフの野党や一部のオリガルヒに政権交代を行わせ、その後にロシアが満足する条件で和平契約を結び、しかもプーチンが当初表明したウクライナの非ナチ化と非軍事化といった2つの目標を達成できたはずです。
しかしそれは実現されなかった。クレムリンに約束したであろうキエフのオリガルヒは約束を守らなかった。そしてクレムリン政権は文明の対立の厳しさを理解していないロシアのオリガルヒを過大評価しました。
1年経ってから私たちはしかるべきスタート地点に到達しました。ウクライナとの紛争を始めることで私たちは一極集中の欧米ヘゲモニーに逆らったので、同等の反応が戻ってくると予想すべきでした。
この1年間でロシア政権は大物のオリガルヒを信用しなくなったと思います。以前はロシアのオリガルヒは親プーチン派だったかが、特別軍事作戦が始まって以来、彼らは全く無能で、一部は愛国心が不十分で、軍事領域とビジネスの(利益)の両立は不可能であることが判明しました。

国民戦争という段階が始まった。これは国民戦争です。今この戦争はロシア社会にとって聖なる戦争です。(その戦争の中で)オリガルヒは決定的な役割を果たす人物ではない。この大変厳しい戦争を1年間続けてから政治、経済、イデオロギー分野における本格的な改革を行う必要性をやっと認識しました。
その最初の証拠はプーチンが署名した伝統的な価値の保護に関する第809号の法律でした。ロシアは欧米との致命的な戦いをしている独立した文明として自分を認識しました。
その中でグローバルな体制を崩さないような一部のオリガルヒの交渉は何の効果もなかった。クレムリンはこの戦争の規模を過小評価しました。特別軍事作戦に準備をしたのに、欧米との長期的で本格的な戦争になった。これはウクライナとの戦争ではなく、欧米との戦争です。