「あの瞬間、息をのむ音が聞こえた」――2021年、札幌地裁の記憶

全国の地方裁判所、高等裁判所での審理を経て、現在は最高裁判所での最終判断を待つ段階にあります。

高裁の判断は、東京の二審を除く5件が「違憲」、東京の二審のみ「合憲」とされました。ただし、その合憲とした東京高裁も「このままの状況が続けば憲法違反になりうる、国会で審議が尽くされるべき」と付言しており、現状を容認したわけではありません。

なかでも大きな転換点となったのが、2021年3月の札幌地裁判決でした。

「懐かしい。判決現場にいましたもん」と満島てる子さんが言うと、「私も当時、報道記者でこの裁判の担当をしていたので」と幾島編集長が応じます。

満島さんは「正直、どうなっちゃうんだろうって思っていて。日本はほんとに遅れているので、判決としてもものすごくアゲインストなものが出てきて、自分が傷つく可能性もあるなと思いながらその場に行ってたんですよね」と振り返ります。

それでも「憲法14条の法の下の平等において、違憲状態にある」という言葉が法廷に響いたとき、満島さんはこう感じたそうです。

「そういうことを言ってくれる人が司法サイドにいるんだって、まず何よりうれしかった。自分たちが発信していても、それって君たちが考えてるだけでしょって思われることがそれまで多かったんですけど、司法という公的なサイドから、この国の現状がおかしいということが発信されたことは、ものすごく大きなことだったなって」。

傍聴席で聞いていた幾島編集長の記憶にも、忘れられない光景があります。「判決の瞬間に、たくさんの人がハッと息をのむ音が聞こえたんです。日本の状況を大きく変えていく一瞬に立ち会った実感がありました」。

満島さんも「泣いている人もいた」と、感動の瞬間だったことを振り返ります。

それから5年。今も法律は変わっていません。

「5年たって今まだ社会が変わってないっていうところに対して、裁判と政治のずれがある」と幾島編集長は語ります。