CO2を地域資源に変えることで環境と経済が両立
CO2を地域資源として活用した佐賀市の取り組みは、国際的にも注目されている。毎年開催されている国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)では、これまでに4回取り組みが紹介された。
また、清掃工場で回収されたCO2は、カーボンニュートラルなCO2として国際認証の「ISCC PLUS認証」を取得した。ごみの6割が動植物由来で再生可能であることから、バイオマス由来のCO2として認められたのだ。清掃工場由来のCO2がISCC PLUS認証を取得するのは世界初である。
佐賀市はCO2の産業への活用に注目している企業や大学、金融機関などとともに一般社団法人バイオサーキュラーエコノミー協議会を組織して、GX推進課に事務局を置いている。前田副課長兼室長は、清掃工場のCO2を活用する仕組みを全国や世界に広げていきたいと話す。
「ごみ処理場の統合や新設をめぐる立地の課題は、佐賀市だけでなく、全国の自治体の課題でもあります。その解決策として焼却場の排ガスからCO2を回収して活用するシステムを確立できたので、このシステムを全国に広げていければと考えています。また、アジアの国々を中心に、経済成長に伴ってごみ処理が埋め立てから焼却に変わる地域も増えていますので、世界にも広げていきたいですね」
日本は工業用やドライアイス用のCO2を海外から大量に輸入している。その一方で、佐賀市の清掃工場にはCO2を1日10トン回収できる能力があり、橋本農園への供給開始後も使用する量は1日1トン程度なので、CO2を供給する余力はまだ十分にある。前田副課長兼室長は、新たに液化CO2を販売することや、さらなる企業誘致も含めて、経済効果もまだまだ拡大していく考えだ。
「私たち役所は利益を追求する必要はありません。利害関係者をマッチングするのが仕事です。誰かが我慢をして環境価値を創出すると、必ず持続可能性は崩壊します。そうならないように、当たり前にごみが出て、当たり前に処理されて、そこから取り出したCO2が当たり前に農業に使われる社会を作っていきたい。誰も損はしませんし、ストレスもかかりません。その担い手として役所が利害関係者の間に立てば、環境と経済は両立できると考えています」
迷惑施設を市民や企業に歓迎される施設に変え、地球温暖化の原因で嫌われ者のCO2を地域資源に変えた佐賀市の取り組みは、これからも広がっていきそうだ。
「調査情報デジタル」編集部
【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。














