大規模な園芸農業施設が清掃工場周辺に進出
最初にCO2を供給した相手は、化粧品や健康食品の原料成分を生産する企業である「アルビータ」。微細藻類のヘマトコッカス藻を培養し、アスタキサンチンという成分を抽出しているのだが、そのヘマトコッカス藻の培養がCO2を吸収することによって促進されているのだ。
また、JA全農が2020年に清掃工場の隣接地に整備した大型園芸施設の「ゆめファーム全農SAGA」では、CO2と熱が利用されている。この施設はキュウリを栽培しており、栽培面積は86アールと国内有数の規模を誇る。
清掃工場から供給した熱でハウス内を温め、高純度のCO2を引き込むことで光合成が促進され、高い収量を実現。初年度の10アールあたりの収穫量は約55トンに達し、国内最多を記録した。
他にも、いちご、花卉、ハーブなどの栽培のほか、魚の養殖と植物の水耕栽培を組み合わせたアクアポニックスなどにも、清掃工場のCO2と熱が利用されている。
これらの成果を受けて、新たに進出する企業も出てきた。2025年7月から操業を開始した橋本農園は、ミニトマトを栽培する大規模な園芸施設だ。投資額は約10億円で、約5億円の国の補助を受けた。
栽培面積は約1.2ヘクタールと広大で、天井付近からミニトマトの蔓を垂直に吊り下げて栽培するハイワイヤー栽培が行われている。約90メートルに及ぶミニトマトの生産ラインが80列も並ぶ。

オランダのメーカーから導入した最先端のシステムによって、光や温度、CO2濃度など700項目の総合的に管理している。光合成を最大化させることで、10アールあたりの収穫量を佐賀県平均の約5倍となる30トンを目指す。
施設内で使っている熱とCO2は、現状ではLPガスを燃焼させて得るものだ。清掃工場からの熱の供給は2026年度から、CO2の供給は2027年度以降から受ける予定で準備を進めている。橋本農園の橋本佳季社長は、光熱費を抑えられることが進出を決めた理由だと明かす。
「施設園芸でかかる主な費用は光熱費と人件費、減価償却費です。最も大きいのは光熱費で、弊社の場合はガス代です。ガス代も人件費も毎年上昇しているものの、農産物は他の商品のように上昇分を価格に転嫁して値上げすることは無理です。
それが、清掃工場由来の熱やCO2が既存のガス代よりも安価に供給されることで、最も大きな費用を減らすことができます。費用が抑えられるのなら、他の農場に比べて優位性が高い取り組みができると考えたことが、この場所に進出した一番の理由です」














