佐賀市清掃工場には、世界初の施設がある。ごみ焼却の際に発生する排ガスからCO2を分離回収し、農業などに必要な資源に変える施設だ。「迷惑」施設を地域に「歓迎」される施設に変えた佐賀市の取り組みとは。「シリーズSDGsの実践者たち」の第55回。
排ガスから高純度のCO2を取り出し農業に活用
佐賀市清掃工場は市の中心部に位置している。一見すると普通のごみ処理施設だが、ごみ焼却の際に発生するガスを排出する煙突のほかに、もう一つ高い塔を備えた設備が施設内にある。

その塔には「CCU」という文字の書かれた看板が付けられている。「CCU」は「Carbon dioxide Capture and Utilization」の略で、「CO2の分離回収と利活用」を意味する。
この設備では焼却炉から排出されるガスのうち約5%を引き込み、排ガスからCO2だけを分離して、純度99.5%以上のCO2を回収することができる。清掃工場で発生するCO2は1日約200トンで、そのうち10トンを回収できる能力を持つ。回収したCO2は、ごみ処理施設の周辺に立地する園芸農業や藻類の養殖施設などにパイプを通じて送られる。
園芸農業などでは光合成を促進するためにCO2が必要で、通常は灯油を燃焼させるなどして確保している。佐賀市では、その燃料代よりも安い1kgあたり税込み37.1円の価格で高純度のCO2を供給するとともに、ごみ焼却による熱も供給している。
この取り組みによって企業進出が増加した。現在6社が集積して、その直接の投資額は70億円にのぼり、周辺に少なくとも50人を超える雇用を生み出している。排ガスと排熱を経済的な価値に変えているのだ。














