AIが注目を集めだした当初、AIは人間を単純作業から解放するが、クリエイティブな分野は代替できないという言説があった。ところが日々進化する生成AIは、いまや、文学や音楽、イラスト、マンガ、そして映画と、あらゆるクリエイティブの制作現場で利用され始め、そしてかなりの水準の作品を生み出しつつある。それに伴って大きな影響を受け始めているのが、各種の公募による賞やコンテストだ。これまでは人間の創造力を競い合ってきたが、生成AIが介在して生まれた作品があふれ出したとき、賞やコンテストはどうなるのか?まずは、日本独自の定型詩である俳句と川柳の現状を探った。
生成AIによるものかどうかを見分けるのは困難
第一生命・2025年『サラッと一句!私の川柳コンクール(サラ川)』の審査結果が2026年5月28日に発表された。優秀100句に選ばれた作品の中で目立ったテーマのひとつが、人工知能の「AI」だった。
「チャッピーを どこぞの犬と 勘違い」 まっさん(第11位)
「AIに 相談してから 人に聞く」 アサノ(第12位)
「AIか? 志望動機が 皆同じ」 面接勘(第35位)
サラ川は今から40年前、1986年に「サラリーマン川柳」として始まり、2022年9月の募集から現在の名称に変更している。第1位の作品を投稿した人には賞品としてロボット掃除機が贈られるなど、高額の賞金があるわけではないが、川柳のコンテストの中でも長い歴史があり、高い知名度を誇っている。
2025年のサラ川には同年9月から10月にかけての応募期間に、全国から5万4302句の作品が寄せられた。その中から優秀100句を選んだ上で、3万9652人の投票によってベスト10が決定した。
第1位は、すっかり普及したキャッシュレス決済を題材にした「キャッシュレス 充電無くなり 無一文」(ぱなっぷ)。第3位は、大阪・関西万博と物価高を題材にした「ミャクミャクと 続く気配の物価高」(おとちゃん)と、世相を反映した作品が並んだ。
また、AIをテーマにした作品も、上記のようにベスト10には入らなかったものの、100句のうちの10句以上を占めていた。ちなみに、2024年のサラ川で第1位に輝いたのは、「AIの 使い方聞く AIに」(七夕するめ)だった。
多くの人々の生活や仕事の場面にAIが入り込んで来ている証左と言えるが、果たして、そのAIを利用してサラ川に応募することは問題ないのだろうか。
2025年のサラ川の募集要項には、応募作品の生成AI利用については、何も記載されていなかった。その理由を第一生命の担当者に聞くと、「想定していなかった」との回答だった。
「2025年9月の前回募集までは、応募作品に生成AIを利用されることは特に想定しておりませんでした。現状では生成AIへの対応について決まっているものはなく、次回の募集(2026年9月開始予定)における対応については引き続き検討しております」
また、作品が生成AIによるものかどうかを見分ける方法を検討しているのかについても尋ねたところ、その難しさを滲ませる回答が返ってきた。
「川柳は5・7・5の限られた字数で詠まれるものであるため、チェックツール等が開発されない限り、生成AIによるものか見分けることは非常に困難と認識しております。現時点では、見分けるための具体的な方策は有しておりません」














