9年前のソチオリンピック、スキージャンプのラージヒル団体で銅メダルを獲得した長野県飯山市出身の竹内択(たけうちたく)選手。

35歳になっても「衰えはない、まだまだ伸びしろがある」と語り、今季国内で2勝と調子を上げています。

あの「レジェンド」の背中を追いかけ、世界で戦うことを目標に飛び続ける不屈の男の挑戦を取材しました。


2022年の暮れ、長野市内のトレーニングジムに竹内択選手の姿がありました。

「トレーニングのやり方でまだまだ可能性っていっぱいあるなっていうのも日々感じるところでもあるので、面白いですね」

13年所属した北野建設を4年前に離れ、自らスポンサーを集めてチームを立ち上げました。

35歳になった今も、若手と同じトレーニングメニューをこなします。

「衰えとかは感じてないですし、まだまだ伸びしろがあることを日々感じながら練習はできているので、あまり年齢とかには囚われたくないなっていうのは、個人的には思ってます」

国内大会2戦2勝と調子も上向いている今シーズン、3年ぶりのワールドカップ出場を目指しています。

2014年のソチオリンピック。

4人1チームで競うジャンプ団体の二番手を任された竹内選手。

3位で折り返した2本目。

130メートルの大ジャンプで、銅メダルを獲得しました。

しかし、その直後の会見で自らの病を明かします。

「難病のチャーグストラウス症候群という病気の可能性が8割あるって言われてまして、もしかしたらこれは死んでしまうんじゃないか?とか脳裏によぎるものもありましたし」

脳梗塞や肺炎などを誘発する可能性がある血管の難病「チャーグ・ストラウス症候群」。


病と闘いながら掴んだ銅メダルに沸き立つ周囲とは裏腹に、胸中は複雑でした。

「うーん、正直、あの時のメダルって…、3割ぐらい嬉しいっていうか、7割悔しさが残ってる感じで、周りの選手に引っ張ってってもらったっていう感覚がすごく大きくて、7割っていうのは取らせてもらったって感覚がすごく強くて、僕の中ではあそこでは終われないって気持ちがすごくあるんですよね」

治療を続けながらでも現役にこだわる竹内選手を突き動かすのは、自らの力でメダルを掴みたいという思い。