クイーンズ駅伝に優勝したチームの雰囲気もプラスに

世界陸上の2か月後に行われたクイーンズ駅伝では、エディオンが初優勝した。エース区間の3区を走った矢田は、廣中と五島莉乃(28、資生堂)には及ばす区間3位だったが、1区の水本佳菜(21)でトップに立った流れを維持させた。外国人選手がいないエディオンはインターナショナル区間の4区で2位に後退したが、5区の細田あい(30)でトップを奪い返し、前年優勝のJP日本郵政グループに7秒差で初優勝を達成した。
 
世界陸上後は練習に対する考え方が変わっていた。「苦しいと感じていた練習が、大きな舞台に立つための苦しみだと思えば、楽しいと感じられるようになりました。自分の弱さは後半だとはっきり認識できたので、後半の粘りを身につけるために、ベースとなるジョグの質を上げることに取り組みました」

ジョグの最後の10分は「(1km)4分切り」までペースを上げ始めた。ジョグの最後のスピードはマラソン練習期間に入って下げたが、駅伝練習期間からマラソンのことを考えてジョグを行ったことで、マラソン練習にスムーズに移行できたという。

25年のクイーンズ駅伝

駅伝の優勝を目指すチームの雰囲気も、キャプテンでもある矢田の背中を押した。「東京世界陸上に向けて孤独な練習になると思いましたが、みんなの笑顔や声かけに救われた部分がありました」と矢田が言えば、4区の中島紗弥(26)は「矢田キャプテンがポイント練習などで良い走りをした選手に“ありがとう”と声をかけて、チームを温かく包み込んでくれました」と話す。チームが良い雰囲気になるとトレーニングの質が自然と上がったり、余裕を持って練習を終えたりすることができる。

大阪国際女子マラソン前も、「チームメイトから動画をもらって、リラックスできた」という。ドライヤーの風を当てながら「風に負けるな」とユーモアを込めたものもあったという。レース中も沿道からの応援に、笑顔で応える矢田の走る姿があった。

クイーンズ駅伝に関係した「唯一の不安材料」は、初マラソンまでの間隔が2か月と短いことだった。だが沢栁監督は、その点も考慮して練習計画を立てた。

「今回のテーマは、トラックと駅伝のスピードを生かすことでした。2か月のスパンとなるマラソンを選択したのは、それが狙いです。矢田の性格を考えても、長くじっくりマラソン練習期間をとるより、今回はパッとマラソンまで持って行くことがいいと判断しました」

世界陸上からクイーンズ駅伝、そして初マラソンと、矢田とエディオンチームが完璧な流れを作ってみせた。