1月25日の大阪国際女子マラソンでアジア大会(9月、名古屋開催)有力候補が誕生した。初マラソンの矢田みくに(26、エディオン)が外国勢と最後まで競り合い、2時間19分57秒の初マラソン日本最高記録で4位に入った。日本人選手の2時間20分切りは6人目、国内レースでは24年大阪国際女子で2時間18分59秒の日本記録をマークした前田穂南(29、天満屋)に続き2人目の快挙だった。矢田は昨年9月の東京2025世界陸上10000m代表。そのときの経験が、初マラソンでの快走につながったという。

世界陸上を経験して「中学生に戻った」ような気持ちに

日本人選手にとって2時間20分突破は大きな勲章となるが、翌日の一夜明け会見の開口一番、矢田は「悔しいです」とコメントした。

「(目標は2時間23分30秒だったが)25km過ぎから“勝ちたい”に変わりました。最後、勝ちきれなかったことが、本当に悔しい」

世界陸上では、それ以上の悔しさを味わった。世界陸上10000mは20位。短距離種目なら準決勝レベルで、着順自体は悪くない。だがタイムは32分28秒94で、優勝したB.チェベト(25、ケニア)に2分近い差をつけられた。1学年下の廣中璃梨佳(25、JP日本郵政グループ)は6位(31分09秒62)に入賞していた。

矢田選手と廣中選手

「今でも世界陸上のことを思い出すと、悔しくて涙が出ます。強くもないのに、強さを偽って競技をしていたと気づきました」

それまでも世界を目指してはいたが、世界一を決めるレースを実際に走り、認識を改めざるを得なかった。と同時に、自身の取り組みの甘さに気づいた。「怖いなら怖いと、自分の弱さを見せて、(周囲の支援も得て)取り組んでいくしかありません。できていないなら、がむしゃらに走るしかないんです」。マラソン出場は以前から視野に入れていたが、本気で考え始めたのは世界陸上後に、沢栁厚志監督に背中を押されたことがきっかけだった。

「自分にはがむしゃらさが足りないと、世界陸上で痛感しました。(マラソンに挑戦することが)1本ネジを外すようなこと、当たり前を変えるようなことになると思ったんです」

悔しさは大きかったが、自分の弱さを認めて頑張ることは、不快なことではなかった。むしろ逆で、「中学生に戻ったような感覚になることができたんです。守るものもないし、一から強くなっていける」と感じられた。