変わる葬儀、自由化の波――形式から“その人らしさ”へ
避けるものではなく考える“入り口”に――Deathフェスは、形式的な葬儀や相続とはまた別の形で「終活」を再定義する新たな試みでもある。
近年、葬儀の現場では「こうでなければならない」という決まり事が薄れつつある。遺影や、会場で流す音楽も、故人らしさを前面に出すものが選ばれるようになってきた。
広がりを見せる多様な葬儀の在り方について、市川さんは「私も今でも、いろいろと学んでいる最中です」と前置きした上で、「コロナ禍があって、お葬式というもの自体がかなり縮小傾向にあります」と全体的な傾向を説明。通夜や告別式などの「大がかりな葬儀」ではなく、ご遺体を自宅などから直接火葬場に移して行う直葬も増えていると言う。
市川さんもおととし父親を亡くし、「“葬儀ってこういうものですよね”という前提のもとに進めることへの違和感もあり、父だったらきっと『葬式にお金なんてかけなくていい!』と言うよねということで、家族の意見も一致してシンプルな直葬式にしました」と自身の経験も明かす。「今は樹木葬が多いと聞きます。新規でお墓を購入するにしても、いわゆる“先祖代々・何々家の墓”という籍のあるお墓に入るのではなく、自然に近いところに、という考えが広まってきていると思います」とその変化についても触れる。
「『墓じまい』(墓を撤去して更地にし墓地管理者へ返還する一連の作業)も最近のトピックになっていて、大きなビジネスにもなっています。お寺や霊園で石のお墓を買って眠る…その手前で告別式をやって…というような、今までの仕組みはかなり変わってきているなと感じます」
生前葬についても、「以前は盛大な『感謝祭』のような形で開かれるようなケースも多かったですが、今は自分の人生を表現したり、友達を呼んで小規模で開いたり、何回してもいいよね、というような話はよく聞きます。“お別れの儀式”というよりも、自分が主体となって自分の人生の節目や転機を作っていくような感じで捉える人も多いのでは」と語る。
「今回のようなドラマが放送されることもそうですし、今は昔からある葬儀業界も変わりつつある、ちょうど過渡期でもあるなと、業界の方や周りの友人とも話していて思います」と、その変化を肌で感じている。
「葬儀業界には昔からのビジネスモデルがありますが、仕組みとしては結婚式のパッケージと一緒です。例えば棺がいくらで買えるのかとか、これとこれを組み合わせたいとか、結婚式でも派手な披露宴や仲人は要らなかったり、親族は呼ばす友達同士で、という選択肢が増えているように、葬儀も『家や先祖のため』というものから、『自分たちのもの』というふうに取り返した瞬間に、発想が違うものになっていくんだと思います」
こうした変化が起きる一方で、市川さんはこう警笛も鳴らす。
「ペットの葬儀業界でも聞くのですが、悪徳業者みたいなものも出てきています。葬儀という閉じられた世界で、葬儀業界の方々によってきちんと守られてきたものや儀式というものがあります。『じゃあネットで組み合わせて、これとこれで一番安い方法でやろう』となったときに、本当にそれでいい葬儀ができるのか、という問題はあると思います」と危惧する。
「じゃあ“そもそも儀式って何のため?”とか、“お寺の役割って何だっけ?”とか、ちゃんと知るべきことは知って、守るべきところは守る。道を開いていくためには、そうした知識を得たり対話もしていかなければいけません。Deathフェスがその一つの結び目になれたらいいなと思っています」と、Deathフェスの意義にも触れる。














