「世界陸上2025東京」で問われた放送局とスポーツイベントの関係

2025年も、多くのスポーツイベントが放送を賑わした。

大谷翔平選手のメジャーリーグでの活躍が、連日のスポーツニュースを賑わしたが、ロサンゼルス・ドジャースで、大谷選手のチームメートとなった山本由伸投手も活躍した。特に、ワールドシリーズでのタフネスな活躍は目覚ましく、ドジャースの2年連続優勝に大きく貢献。日本人投手として初となるワールドシリーズMVPも獲得したことが、大きく報じられることになった。

また、スポーツイベントをテレビ中継するだけでなく、放送局が半身乗り出してイベントとの開催・運営に関わったものとして、「世界陸上2025」を挙げることができよう。

9月13日から21日の9日間、東京・国立競技場を舞台に開催された「世界陸上2025」では、TBSテレビが独占的に放送権を持つだけでなく、同大会の開催そのものに関与。大会の盛り上げに一役買った。

そのようなこともあって、結果、日本選手が獲得したメダルは、銅が2個だけという少々寂しいものであったが、大会は大いに盛り上がるとともに、放送への接触率も高かったことが報じられている。

単にスポーツイベントの中継を編成するのみならず、大会の開催そのものに、より踏み込んで関わることで、エスノセントリズム(自民族中心主義)に陥りがちな国際スポーツイベントから、多様・多彩な魅力を引き出し、視聴者・観客を集めたことも、放送局における未来志向の取り組みとして期待したい。

ところで、この「世界陸上2025」において、実況を担ったTBSテレビでは、400メートル障害など、いくつかの競技において女性アナウンサーを実況に起用。これまでスポーツ実況には、NHKを含めて女性アナウンサーが起用されることは、極めて少なかった。

その理由として、これまでしばしば指摘されてきたのが、女性の声質がスポーツ実況に馴染みにくいというものだったが、今回の試みは、おおむね好評で、今後につながる試みとなったと言えよう。

他方で、今後のスポーツイベントと放送との関係に関して大きな問題は、放送権料問題である。いま、スポーツイベントの放送権料の高騰は、放送界を悩ませ続けている。

2026年3月、野球の国・地域別対抗戦、第6回ワールド・ベースボール・クラシック(以下、WBC)が開催される。日本代表「侍ジャパン」は、前回大会の優勝に続いて2連覇に挑む。ただ、今回のWBCの放映権は、Netflixが独占することが決まっており、地上テレビで、試合が完全中継されることはなさそうである。

グローバルな配信サービスが、コンテンツ市場での支配力を強めるなかで、欧州諸国と同様に、日本においても、国民的なスポーツイベントに誰もがアクセスできる環境をどう確保するかという問題が浮上するかも知れない。