衛星放送事業の再検討
2025年は、様々な節目の年であり、2000年12月1日にスタートしたBSデジタル放送も、その開始から25周年を迎えた。
BS民放各局は、周年記念番組などを編成するところも少なくなかったが、他方で、25年9月から再開された総務省の「デジタル時代の放送制度の在り方に関する検討会」の下に置かれた「衛星放送ワーキング」(以下、衛星WG)において、BS4K放送の今後について検討がなされた。
その背景にあるのは4K放送の普及の伸び悩みである。2003年にスタートした地上デジタル放送は、2011年のアナログ停波を目標にデジタル放送への移行が進められた(この年の3月に起こった東日本大震災によって、岩手、宮城、福島の被災3県は、2012年3月をもって地上アナログ放送を終了)。前後して、来たるべき放送のあり方として掲げられた目標の1つが、放送の「超高精細度化」だった。
この目標に沿って環境整備がなされ、2015年よりCS放送、ケーブルテレビで4Kの実用放送がスタート。続いて、2018年からはBSの右旋・左旋円偏波を使って4K放送がスタート。BS右旋には、NHK、民放BS各社が参入した。他方で、BS左旋円偏波ではNHKによるBS8K放送が開始された。
しかし、若者を中心とした「テレビ離れ」や動画配信の伸張などといったメディア環境の変化のなかで、4K放送の普及は伸び悩む。加えて、2020年に予定されていた東京オリンピックの開催が、4K放送の普及に弾みをつけると期待されていたが、コロナ禍の影響もあって、普及の起爆剤とはなり得ないまま終わってしまう。
2025年7月に再開された衛星WGでは、4K放送、並びに4Kコンテンツの現状を踏まえて検討。10月には、BS4K放送を放送サービスの「太い幹」としつつ、映像コンテンツ制作の世界的な標準となりつつある4Kコンテンツの多角的展開を図っていくことなどが、衛星WGの「第2次取りまとめ案」としてまとめられ、パブリックコメントを経て、12月には、この取りまとめ案が了承された。
ただ、この衛星WGの開催期間中に、その論議に意図的にぶつけられる形で、民放BS局の4K放送撤退の動きが報じられた。
民放BS局による4K放送は、広告モデルによるサービスということもあり、4K放送用の受信機の普及が広告主を呼び込む基礎条件となるのに加え、「ピュア4K」と呼ばれる4Kで制作された魅力あるオリジナル・コンテンツが視聴を引きつけるのであるが、この割合がなかなか上がらなかった。勢い、民放BSの4K放送は、民放BSの2K放送をアップコンバートしただけのサイマル編成が中心となっていた。
他方、前後するが、その2KでのBS放送に関しても、経営環境の悪化から、2025年2月には、6月末をもって「BS松竹東急」が停波することを発表していた。それが急転直下、「BS松竹東急」の株をJ:COMが買収。7月より、同チャンネルは居抜きする形で「JCOM BS」としてサービスが継続されることになる。
2026年には、この衛星WGの第2次取りまとめを受けて、BS4K放送を含めた4Kコンテンツの出し口の拡充に向けた方策が検討されることになろう。他方において、トラポン内のチャンネルの再整理、インフラコストの低廉化に向けた取り組みが進められよう。














