選挙報道の見直し・改革の動きが本格化

SNSが普及・浸透するなかで、その政治的影響力が顕在化したのが、2024年に行われた選挙であった。石破茂政権が発足直後に打って出た10月の衆院選、斎藤元彦兵庫県知事の失職に伴い行われた11月の兵庫県知事選は、SNS選挙といわれた。

特に、兵庫県知事選挙では、立候補したN党の立花孝志氏が、再び立候補した斎藤氏を応援するいわゆる「二馬力選挙」を展開。立花氏は、YouTubeなどで、斎藤氏の失職に至る内部通報者らを非難する発信を続ける一方で、既存メディアを敵視する発言を繰り返した。これらの言動が、少なからず兵庫県知事選に影響を与えたとされ、斎藤氏が知事に再選されるに至る。

これまで、既存メディアの選挙報道は、公職選挙法に加え、放送に関しては、放送法4条が「政治的公平性」を規定していることもあって、その取り上げ方は、慎重にならざるを得なかった。2017年2月にBPO放送倫理検証委員会から、選挙報道における「質的公平性」(実質的公平性)を求める意見が出されてはいたものの、放送局の選挙報道では、投開票日までは、立候補者の扱いを公平にすることに主眼が置かれ、その報道量が減る傾向にあった。

このようなこともあって、2025年7月の参院選においては、新聞・放送といった既存の報道機関で、選挙報道のあり方が再検討され、公示期間中であっても積極的に報ずる姿勢が示された。

この試みによる混乱はほとんどなく、選挙後の有権者に対する調査でも、おおむね好評であった。今後の選挙報道においても、しばらくは試行錯誤が続くかも知れないが、公示期間中であっても、より積極的な報道がなされる方向に進むことが予想される。

他方、2024年の兵庫県知事に対するパワハラ疑惑に関する内部告発に端を発する一連の兵庫県問題に関しては、TBS「報道特集」が、キャンペーン報道を展開。虚偽文書のSNSでの拡散など一連の問題の連鎖を粘り強く取材・報道し続けた。

これらの報道に対しては、ネット上を中心に様々な批判や誹謗中傷、番組関係者への個人攻撃なども少なくなかった。それらの批判に晒されながらも、報道機関として、事実に基づいた取材・報道を続けたことは特筆できよう。これらの一連の報道は、「ギャラクシー賞」「早稲田ジャーナリズム大賞」など、いくつかのアワードで高い評価を受けることになる。

他方で、2025年11月、N党の立花孝志氏が虚偽発言などで、故・竹内英明元兵庫県議の名誉を傷つけたとして逮捕、起訴される。