仲間たちが見せた「薩摩魂」 猛火に立ち向かった勇気

2月3日未明、国事犯たちが硯(すずり)の原石採掘などの作業のために派遣されていた宮城県雄勝町(現在の石巻市雄勝町)で、火災が発生した。

当時の『仙台日日新聞』は、80年来という大火に見舞われた現地の混乱を伝えている。強風にあおられた炎は猛威を振るい、住民たちはなす術もなく立ち尽くすばかりだったという。

そこに駆けつけたのが、国事犯を含む囚人たちだった。

「自分たちなら消せる」 看守とともに陣頭指揮を執ったのは、国事犯の石原近秀らだった。

国事犯を長年研究している宮城県の郷土史家・柴修也さんによると、石原らは水をかけるのではなく、周囲の建物を壊して延焼を防ぐ「破壊消防」を行った。

この時、活躍したのは武士たちだけではなかった。現場には一般の囚人たちも共に派遣されていた。

彼らは石原ら国事犯の指揮のもと、身分や罪状の違いを超え、一丸となって猛火に立ち向かった。