前半を抑え気味に走っていた前回のニューイヤー駅伝
――10000mのことは後ほどまたうかがいますが、2度目のニューイヤー駅伝が迫っています。前回は2区で区間2位でしたが、悔しさが残る走りだったのか、力を出し切った走りだったのか、どちらでしょうか?
鈴木芽吹:昨年は八王子ロングディスタンスが終わってから、ケガとかではありませんが、体の状態があまり良くなくて。そのままニューイヤー駅伝当日を迎えてしまったので、欲張らずに走るしかありませんでした。前半を抑え気味に行って、余裕が出たときか、残り距離が少なくなったときに上げていくプランだったんです。区間賞は(15秒差で)取ることができませんでしたが、その時点でできること、やろうと思っていたことはしっかり出せたと思います。
――区間賞の池田耀平(花王・27)選手と長く並走していましたが、どんなことを考えていましたか?
鈴木芽吹:やはり駅伝なので僕個人の順位云々より、チームとしてこの区間を良いものにすることを一番に考えていました。ライバルになる旭化成やHonda、GMOインターネットグループといったチームが前にいたので、それらのチームに最低でも追いついて、少しでも引き離すことが一番求められていたと思います。追いついて来られた池田さんを利用して、と言ったら少し失礼になるかもしれませんが、一緒に追い上げたいと思っていました(GMOインターネットグループと9秒差の2位に進出)。
――今回のニューイヤー駅伝では、仮に2区であればどんな役割が求められそうです
か。
鈴木芽吹:チーム内でも今は若い選手がトラックのタイムで勢いがあります。その選手たちを中心に、前半から前に出るレースはしないといけないと思っています。2区に限ったことではありませんが、前半から積極的に行きたいですね。体調も去年よりは良い状態になっています。
マラソン選手たちと走ることが楽しかった
――日本記録保持者として駅伝に出場することになりますが、その点はどう考えていますか?
鈴木芽吹:先ほど話したように、自分の中では自己ベストを出しただけと考えていますが、(拠点とするGgoatチーム指導者の)大八木弘明総監督からは、日本記録保持者という肩書きがこれからは付いてくるので、誰にも絶対に負けないプライドだったり、そういうものを持って走らないと本当の意味で日本記録保持者として認められない、そうやって走ることで成長していかないといけない、と言っていただきました。確かにそういう気持ちはすごく大事だと思うので、大八木総監督のご意見も受け容れつつ、あまり意識しすぎずに走りたいと思っています。
――2区はトラックの代表選手、マラソンの代表選手と、色々なタイプの選手が走ります。個人のプライドをぶつけ合う側面もあるのですか?
鈴木芽吹:実業団駅伝は色んなカテゴリーのトップ選手が集まります。前回は距離が一番長い2区でマラソンランナーの方も多く、長い距離は自分たちのテリトリーだから勝ちたい気持ちで来ていたと思いますし、僕としても20kmになったからといって、スピードでは負けないぞ、という気持ちで走っていました。プライドと言っていいのかわかりませんが、そういう気持ちのぶつかり合いは確かにあると思います。普段はあまり一緒に走らない選手たちと走ることは、すごく楽しかったです。
――学生駅伝との違いを、どんな部分に感じましたか?
鈴木芽吹:実業団選手はマラソンにしろ、トラックにしろ、世界に挑戦している選手が数多くいます。チームとしての目標も、駅伝で結果を残すことと世界で戦う選手を育成することの2つを持っているチームがほとんどです。大学生は駅伝を、特に箱根を集大成として位置づけていますが、世界を目指す実業団選手にとって駅伝は通過点です。その一方で学生駅伝はあくまで大学スポーツであって、負けたから何かがあるわけではありません。もちろん結果も欲しいのですが、過程が重要でそこで後悔なく頑張ることに集中していました。その点実業団は、会社として優勝なり、入賞なりを求められていて、結果を出すことへの責任感は学生駅伝より強いと思います。

















