「ずっと後手後手」で円高にならない

植田総裁も会見で口にした日本の「実質金利」は、マイナス圏で推移していて緩和的な環境が続いている。

『東短リサーチ』社長 加藤 出さん:
「名目の金利は30年ぶりの高さになったとはいえ、そこからインフレ率を差し引いた実質のコール翌日物金利を見るとマイナスの2%前後くらいなので、やはり依然として低い。この金利が低いということは、我々の預金金利も大体連動しているので『預金の利息がインフレに負けて元本が目減りしている』ということ。なので、お金はどうしても外に流れやすくなる」

実質金利が際立って低いことで、為替市場では円安が進行。
複数の国の通貨に対する自国通貨の総合的な価値を示す【名目実効為替レート】では、主要通貨の中で円だけが突出して弱い。

<名目実効為替レート>
12月16時点(※2020年の年初=100)
▼ユーロ圏:115.2
▼中国:109.4
▼イギリス:106.2
▼アメリカ:106.0
▼日本:73.0

――今回高市政権が利上げを事実上容認したのは、やはり円安がこれ以上進むのが怖いからか

加藤さん:
「それもあるし、あと日銀がせめて1回ぐらい利上げをしないとアメリカも為替介入にあまりいい顔をしないだろうから、利上げを許容せざる得なかったのだろう」

――「円安が進めば利上げしてもいい」この繰り返しだと、結局為替を円高に反転させたり修正ができずに、現状追認型の後手に回る

加藤さん:
「この1年半ぐらいずっと後手後手。なので利上げしてもなかなか円高にならない。一歩先んじないと、ズルズル攻め込まれてしまうのだが、長期金利が暴れたりなど、やはり政権との関係で相当トラブルが起きるというのを日銀が恐れているのだろう。それをマーケットが見透かして、また円安を仕掛けてきている」