利上げ決定しても進む円安。円高への反転には何が必要なのか。
なぜ?利上げしても円安進む
日銀は19日、委員全員の賛成で政策金利を0.25%引き上げ「0.75%」とすることを決定。1月以来7会合ぶりの利上げで、0.75%は1995年以来30年ぶりの高い水準だ。

しかし、植田総裁の会見中、為替は1ドル156円台と1円ほど円安方向に。さらにその後、海外の市場では157円台まで円安が進み、期待されていた円安の解消にはつながらなかった。

番組の為替予想でおなじみの瀬良礼子さんは、「こんなに円安に動くとは正直思わなかった」とする一方で、要因は植田総裁の会見にあると話す。

『三井住友信託銀行』瀬良礼子さん:
「次どうするのかというアクションに関して、今までと同じ見通しが実現していけば金融緩和の度合いを調整するという“全然突っ込まない発言”だった。日銀はどの辺りを利上げの到達点と考えているのかに関心は非常に高いが、それに関しては濁したということは、もしかすると到達点はものすごい低いのか、高いのかもよく分からない。この不確実性が市場参加者からすると、『0.75%で最後の利上げかも…』という受け止め方、疑心暗鬼も広がった可能性がある」
日銀ウォッチャーの加藤出さんも、利上げしても円安が進む原因として、日銀の“本気度”が感じられない点を指摘する。

<植田総裁 発言要旨(12月19日)>
▼【12月利上げの理由】⇒利上げのタイミングを間違えたり遅れると“後に極めて大幅な利上げを迫られ”大きなマイナスになる
▼【基調物価に与える影響】⇒複数の委員が円安による“輸入価格上昇が基調物価にも影響を与える可能性”を指摘
▼【今後の金融政策】⇒“実質金利は極めて低い水準”踏まえ引き続き政策金利を引き上げ、緩和の度合いを調整していく
――会見で注目されたのは今後の利上げのペース。“実質金利が極めて低い”というのは、まだ利上げの余地があると言いたかったのではないか

『東短リサーチ』社長 加藤 出さん:
「一応『まだ利上げが続く』と示唆はしている。ただ今回マーケットが注目していたのは、円安あるいは今のインフレを止めるという、日銀の本気度が見たかったのだと思う。ところがあまり迫力がない言い方だったので、『これは円安もインフルも止まらないのでは』と円安が進んでしまった。利上げした日に円安になるというのは深刻。日銀の信認が今、段々と崩れてきているというリスクも入っている」














