エコノミストが指摘 8.9兆円の物価高対策「本質的な解決にはならない」

ガス・電気代の補助や、おこめ券など8兆9000億円に上る“物価高対策”。

エコノミストの熊野英生さんは、「本質的な解決にはなっていない」と疑問を呈す。

第一生命経済研究所 熊野英生 首席エコノミスト
「1回やったら物価高対策としての支援効果は終わってしまう。火元をそのままにしながら家計に寄り添うような支援というのは、一見ありがたい『やってる感』はあるが、何度も何度も繰り返さないといけない。物価高に対する家計の苦しみというのは、今後ずっと続いてしまう。本質的な解決ではないというところが問題」

熊野さんは、「物価高の一番の原因は円安にある」と指摘している。

主要先進国などの通貨価値の推移を示したグラフを見たときに、コロナ禍前の2020年初めを基準にすると、日本円だけが大きく価値を下げている。そのため、輸入コストが上昇しつづけている。

「物価の番人」である日本銀行は、19日に政策金利を0.25%引き上げ、30年ぶりに0.75%とする決定をした。行き過ぎた円安を是正するためなどとしているが…

第一生命経済研究所 熊野英生 首席エコノミスト
「アメリカと日本の金利差が縮小するので、ドル安円高になっても全くおかしくない状況だが、為替レートはむしろ円安方向にいっている」

熊野さんは、高市政権による「国債頼みの積極財政は円安を助長しかねない」と話す。

第一生命経済研究所 熊野英生 首席エコノミスト
「高市政権がもしかすると、本予算=来年度の予算でもかなり大盤振る舞いをするのではないかと。それが再び補正予算の次の『円安圧力』として控えているので、日銀は0.25%の利上げを行っただけでは、焼石に水だと。財政不安の部分を背景にしながら円安が進み、物価が上昇してしまうという、悪循環の図式もあるのではないかと私は見ている」