災害時に役立つ「自己処理型トイレ」とは

災害時の避難所のトイレ対策が進められる中、宮崎市が準備しているものの一つに「自己処理型トイレ」があります。

アスティア移動式トイレ:宮崎市清武総合運動公園
アスティア移動式トイレ:宮崎市清武総合運動公園
アスティア移動式トイレ:宮崎市清武総合運動公園

このトイレは、山梨県に本社を置き、宮崎市に支店を構える「ヤマゲン」から、今年7月に宮崎市が寄贈を受けたもので、空気を遮断したタンク内で微生物が汚物を消化し、浄化した水を循環して洗浄用に使用しており、太陽光発電システムも利用しているため、上下水道や商用電源を必要としない完全循環式のトイレになっています。

(株式会社ヤマゲン代表取締役社長 近藤公一郎さん)
「アスティア移動式トイレは、4tユニック車で吊るされる重さで、最小限でコンパクトな設計になっています。ライフラインが寸断されることが予想される災害時に他の市町村や都道府県に援助に向かうことが可能となります。
また、異臭がもれず環境に配慮したトイレです。使用している処理タンクは空気を遮断しているため、嫌な異臭が漏れず、周辺環境にも配慮しています」

エコロジーや持続可能性の観点からも、避難所などにも広く配備されることが期待されており、今後の発展が期待されるトイレとなっています。

宮崎市では、このトイレを災害時の支援拠点の一つとなる清武総合運動公園に設置しており、災害発生時には維持管理の手間を省けるだけに、自衛隊、警察、消防の救援活動の支えとなることが期待されています。

また、設置場所は、これまでトイレがなかった駐車場エリアであり、公園利用者の利便性向上にもつながります。

SOKKENスタジアム:宮崎市清武総合運動公園
アスティア移動式トイレ:宮崎市清武総合運動公園

さらに、微生物を活用した持続可能な処理システムという先進的な機能は、今後様々な場面で活用されることが期待されています。

大規模災害が発生した場合、国や他の地域の支援が届くにはしばらくの時間が必要と考えられています。

宮崎市では、災害時には被災者の一定数が、備蓄品を持ち出せないことも想定して、備蓄など支援の計画を組んでいますが、支援が本格化するまで生きていくために必要最低限のものは、「自分の身は自分で守る」という「自助」の考えのもと、それぞれの家庭や企業で準備していくことをより進めていくことが必要です。