日米「金利差縮小」方向でも“円高の兆し”ナシ

市場も、政府の「積極財政」路線に警戒感を強めている。

▼長期金利⇒“18年半ぶり”に「2%目前」まで上昇
▼ドル円相場⇒「一時157円台」になるなど政権発足後は円安が進行

そうなると心配なのが「インフレ」だ。
生鮮食品を除く10月の消費者物価指数は、前年同月比「3.0%」と2か月連続で上昇率が拡大している。

そんななか日銀の植田総裁は9日夜、イギリスの経済紙フィナンシャル・タイムズのイベントに出演。「インフレが加速する兆候はない」としながらも…

植田和男総裁:
「食料インフレや為替相場の弱さが予想以上に長期化し、インフレ期待に波及する
とインフレ状況は一変する可能性がある」

物価上昇への警戒感を示したことから「12月利上げ」観測が強まり、折しもアメリカのFRBは10日、3会合連続で「利下げ」を決定。

日米の金利差は縮小する方向だが、“円高の兆し”はない。
その理由について番組の為替予想でおなじみの山田修輔さんはー

『バンクオブアメリカ』主席為替ストラテジスト 山田修輔さん:
「実質金利で見たときにアメリカはしっかりある。日本の金利がたとえ0.25%程度変わっても、あまり効果がないという金利の水準」

その上で、2026年の日銀の利上げの動向と為替相場についてはー

山田さん:
「12月に利上げして次どうするのかに目線は移っている。例えば26年4月の会合にも利上げの可能性があれば、多少円高の戻りの期待は続く可能性はあるが、市場では『次の利上げは6月7月』というのがメインシナリオになっている。なので現段階ではもう少し円安気味に進むのではないかというのが我々のシナリオ」

「1-3月期は基本的には150円台後半から160円台前半の水準」で見ているというが、年初の円相場で円安は進むのかー

山田さん:
「0.5⇒0.75%の利上げに結構時間がかかっていて、だとすると0.75⇒1%も少なくとも同じくらい時間がかかるのではないか。日銀としては経済状況が良く2%の物価安定の確度が上がってくればペースを速めることもできるといったニュアンスは伝わった方が、為替相場、円相場の安定には繋がっていくと思う」