回収できているごみは4分の1から5分の1だけ

ただ、これだけのごみを回収して、リサイクルを含めた処理を行なっても、漂着するごみ全体から見れば一部に過ぎないと福島さんは指摘する。

「漂着する量はモニタリング調査から、年間3万から4万立方メートルと推計しています。1立方メートルがフレコンバッグ1袋に入る量ですので、3万袋から4万袋ですね。回収できている量は約8000袋ですから、4分の1から5分の1程度しか回収できていないのが現状です。それでも、対馬で回収しなければごみは再漂流して、砕けながら日本海へと流れていくので、マイクロ化させないためにも回収は続けていきます」

ごみの回収や処理以外に市が取り組んでいることの一つが、国際交流だ。2003年から毎年「日韓市民ビーチクリーンアップ」を開催して、釜山外国語大学の学生らと一緒に清掃活動をしている。通訳は韓国語を学んでいる対馬高校の生徒が担当していて、今年7月は180人が参加した。

回収したペットボトルの国別の割合を市が2024年に調査したところ、約37%を中国、約27%を韓国、約5%を日本が占めた。一方で、韓国の海岸には日本からのごみが流れ着いている。海洋ごみを減らすには日韓双方の努力が必要だと考えて、日韓交流は長く続いている。

また、対馬海流によって漂着するごみの一部は、日本の国土の4倍に及ぶ面積のごみが浮く「太平洋ごみベルト」から来ていると考えられている。同時に、日本から流れ出たごみは、アメリカに漂着している。2024年には福岡市で日米韓海洋環境シンポジウムが開催され、対馬市は漂着ごみの現状と、回収やリサイクルなどについて報告した。