九州最北端に位置する対馬の海岸には、国内外で発生した大量のごみが漂着している。漂着ごみ自体は減らない中、海の環境を守るために何ができるのか。対馬の取り組みを取材した。「シリーズSDGsの実践者たち」の第50回。
海岸に漂着する大量のごみをボランティアが清掃
長崎県対馬市の西北部にある越高海岸。海岸沿いにある越高遺跡は今から約7100年前から6400年前、縄文時代早期末から前期にかけての古い遺跡だ。周辺の海の透明度は高い。
ところが、海岸を見ると大量のごみが漂着している(冒頭の写真)。ラベルなどを見ると、中国や韓国など外国の文字が書かれているごみが大半を占めている。
この海岸を清掃しようと、8月30日には国際ボランティア学生協会(IVUSA)に所属する全国の大学生約80人が集まった。IVUSAは2019年から越高海岸で活動を始め、2022年以降は年に2回訪れている。

対馬市ではごみを回収する際には発泡スチロールやペットボトルなどを種類別に集めたうえで、農業や工業などで利用される1トン用の黒いフレコンバッグ(フレキシブルコンテナバッグ。ポリプロピレンなどの樹脂で編まれた大型の袋)に入れていく。
今回初めて参加した日本大学2年生の大野毅文さんは「こんなにごみがある海岸が本当に存在するのかと思いました。実際に見た印象は強烈です」と驚いていた。
IVUSAは今年3月にも清掃を行っている。それからわずか5か月で、清掃すると同じ前かそれ以上のごみが流れ着いていた。5回目の参加で広報リーダーなどを務める法政大学3年生の千須和仁さんは、「何度も清掃活動をしているのに、終わらない果てしなさを感じています」と無力感を隠さなかった。それでも対馬の漂着ごみの現状を広く伝えようと、今回の活動をSNSによって発信している。
IVUSAでは今回、3日間で約104トンのごみを片付けた。ただ、1年間に対馬全体に流れ着くごみの総量から見れば、ごくわずかな量に過ぎない。















