麻希さんの血痕に涙あふれる

 麻希さんの血痕は、教室の中では検出されなかった。つまり室内でなく2年西組の後方出口付近で男に刺されたことがわかった。そして、廊下北側の壁沿いに西へ50mほど、児童用の出口まで血のあとが続いていたことが分かった。さらに廊下の壁には3か所、刷毛で掃いたような血痕があり、それも麻希さんのものだと分かったのだ。麻希さんはときどき廊下の壁に体をこすりながら、走ったと思われるものだった。

(酒井肇さん)
「最後に麻希が倒れていたところには、血だまりと左右の小さな手形が残っていました。左の手形には床をひっかいたような痕が残っていました。一歩でも前に逃げようとしていたと思います」

校舎の中では、大阪府警の担当者が、麻希さんの血痕を一つ一つ示してくれた。その麻希さんの跡を、共にたどって歩いた。酒井さんたちは溢れ出る涙をこらえることはできなかった。

(酒井肇さん)
「傷ついた体で50mを移動し、倒れた後も力を振り絞り、一歩でも前に進もうとした麻希。その姿が目の前に、鮮やかな幻影となって現れました。私たち両親は麻希の思いにやっと触れることができたと思えた瞬間でした」