「新しい自分が見られる」と水本
今年のエディオンは強い、と思わせたのが7月の日本選手権だった。5000mで水本が15分13秒19で3位、細田が15分15秒87で4位となったときだった。水本は2位の廣中璃梨佳(24、JP日本郵政グループ)と0.58秒しか差がなかった。4月の日本選手権10000mでは矢田が廣中に次いで2位に。アジア選手権10000mでも3位(31分12秒21の自己新)と健闘し、東京世界陸上代表入りを決めた。
特に成長が著しいのが水本で、東京世界陸上代表こそ逃したが、日本選手権後の米国遠征で15分06秒98(今季日本3位記録)までタイムを縮めた。世界陸上は国立競技場で観戦した。「もしここに立てたらどういう走りができたか、どういう走りをしたいと思うんだろうか、と考えました。悔しい思いも持ちながら見ていましたが、気がついたらものすごく応援している自分がいました。良いものを見せてもらいましたし、良い経験をしたなと思います」
今季の好調は、故障をしなくなったことが一番の要因だという。以前は張りが出ていても「大丈夫やろ」と軽く考えていたが、超音波治療器具を使ったり、セルフケアをするようになった。自身の状態を沢栁厚志監督に細かく報告し始めたことで、微調整を行いながら練習を進められるようになった。「継続して練習ができるようになって、脚もしっかり作れるようになりました」
クイーンズ駅伝は入社して2年続けて1区を走り、区間8位と区間7位。「2年とも夏場にケガをして、駅伝には急ピッチで合わせました。今年は夏場のケガもなく練習を継続できましたね。新しい自分が見られるんじゃないか、というワクワク感があります」
前回は区間賞と14秒差、距離にすると100m弱の差があったが、今年の水本は区間賞を取る力を付けた。「区間賞を意識するより、確実に上位でタスキをつなぐ気持ちで走ります」。その方が自身の力を確実に発揮できる、という判断だ。その水本からタスキを受けるのが、薫英女学院高の2学年後輩の新人・塚本夕藍(19)である。
「直前合宿で調子が上がってきて、どんな走りができるかワクワクしています。3年前の全国高校駅伝でも私が2区で、1区の水本先輩が区間1位でタスキを持ってきてくれたのに、私が順位を落としてしまいました。そのときの悔しさが私の原点になって、ここまで頑張れています。そのときのリベンジの意味も込めて、水本先輩からもらったタスキをパワーに変えて頑張りたいです」。
1、2区の先輩後輩コンビで、エディオンは上位争いの流れに乗る。

















