「大きなイベント」や「国のトップ交代」でうやむやに?

 では、過去はどのようにして関係悪化がおさまったのでしょうか。

 2005年の「小泉政権」対「胡錦濤体制」のときは、日本の国連常任理事国へ入ろうとする動きや、小泉総理の靖国参拝に中国が反発していました。安田氏によると、このときは、北京オリンピックや上海万博といった国際イベントを数年後に控えていて、国際協調も意識してうやむやになっていったということです。

 また、尖閣問題のときは、2012年の最後に中国の国家主席が交代したことにより、改善していったということです。

 2017年の韓国と中国の関係悪化のときは、韓国側の大統領が交代したことになり、同じくうやむやになっていったといいます。

 こうした例を踏まえて、緊張関係の改善の要因となりうるのは…

 (1)国際的なイベント開催
 (2)トップの交代
 (3)中国側の“やりすぎ”

 (1)は、今後の予定や現在の情勢を考えると期待できなさそう。(3)は避けたいケースですが、中国側のある意味“やりすぎた”結果により関係が改善していった過去があります。それが2023年の「処理水」海洋放出。

 岸田政権時の福島第一原発の処理水放出を受け、中国で反発が起き、日本産水産物の輸入停止措置がとられました。

 そうした中、2024年9月18日に、中国の深圳市で日本人学校の男子児童が男(当時44)に刺されて死亡する事件が発生。その後、20日に中国政府は日本産水産物を徐々に輸入再開することを発表しました。

 今回は、どこに関係改善の糸口があるのか…。日本と中国、双方の動きを注意深く見ていく必要がありそうです。

(2025年11月18日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)