主要区間候補の山田が大学4年で急成長した理由とは?
主要区間候補には鈴木と、同じ2年目の山田桃愛(24)の名前も挙げられている。前回は2区では区間4位。5位で受けたタスキを3区の安藤に3位で渡している。専門の3000m障害では9月の全日本実業団陸上で2位。9分50秒97の自己新をマークし、今後は代表入りも狙っていく。11月の京都陸協記録会5000mでも15分33秒70と自己新をマークし、今勢いに乗っている選手だ。
「監督から10月の合宿で、どこでも走れるようにしておくよう言われて、長い区間もあるかもしれない、と距離を踏み始めました。でも、まだ準備が足りないかもしれませんね」
控えめなコメントになるのは性格もあるかもしれないが、遅咲きの選手だったことも関係しているかもしれない。山田は大学3年まで、玉川大の駅伝メンバーにも入れなかった選手なのだ。
「玉川大は自由な雰囲気のチームなので、やる人とやらない人の違いが大きく出ます。私自身やらない側の人間で、2年生の時に同期全員から“ちゃんと頑張ろうよ”と言ってもらったことで、自由な中でも自分ができることをやっていく選手が強くなると考えを改めました。それで3年生では初めて、駅伝メンバーに入れるかもしれないと思っていたのに、第5中足骨(足の甲の小指側の骨)を骨折してメンバーに入れなかったんです。そのときに陸上をやめようとも思ったのですが、母から『それでいいの。感謝の気持ちをみんなに、走りで示した方がいいんじゃないの』と言われたことで、自分を変えることができました。それからはどんなときでも、たとえ熱が出ても解熱剤を飲んででも毎日走りました。朝6時のバスでスキーに行くなら、朝4時に起きて走ってからスキーに行く。誰にも負けない何かを作るところから始めて、自分自身を律するようにして、4年生の時にタイムが伸びたんです」
自分を注意してくれた同期や、見捨てないで指導してくれた玉川大の山下誠監督。白血病を克服した過程では、家族に全面的に支えられていた。そして今はしまむらのチームメイト、スタッフたちに支えられている。そうした人たちに感謝をする気持ちが、山田を強くしている。

















