世界陸上で無念の結果も、監督より先に前を向いた安藤

昨年8月に入社したばかりだが、安藤友香(31)がチームを活性化させている。
17年の名古屋ウィメンズマラソンに、初マラソン日本最高記録(2時間21分37秒)をマークし、同年のロンドン世界陸上に出場した(17位)。21年の東京五輪には10000mで出場(22位)。そして今年の東京世界陸上マラソンを、8年ぶりに走った。

安藤選手(東京世界陸上)

28位という結果に「本当に不甲斐ない。応援してくれた人たちに合わせる顔がない」というほど落胆したが、11月8日の京都陸協記録会5000mでは15分48秒77を、後輩たちのペースメーカーを務めながらマークした。安藤自身は「思ったより戻りが遅い」と感じているが、太田監督の想定を上回るスピードで立ち直った。「安藤は悔しさが大きかった分、しっかり駅伝に合わせて来られています」。1、3、5区の主要区間を任せられるところまで復調してきている。

辛かったことも数多く経験している安藤だからこそ、早い立ち直りができたのかもしれない。加入して1年少ししか経っていないが、若手選手たちの頼れるお姉さんになっている。昨年5区で区間2位と快走した鈴木杏奈(23)が、安藤のことを次のように話していた。

「競技面でも生活面でも、こういうときはどうしたらいいですか? と聞いたら、必ず良いご返答をくださいます。私、いつも不安な気持ちでスタートラインに立っていましたが、『別に自信を持って立たなくても、今やるべきことをしたらいいんじゃないか』と言っていただいて、考えを変えられました。競技力が少しずつ上がってきたんです。私にとって良い影響を与えてくれる存在ですね」

安藤は世界陸上からどこまで回復するか、やってみないとわからない。太田監督は年度初めから、安藤に頼らないチーム作りを目指してきた。それが良い形に表れているのが、今季のしまむらの強さとなっている。