1区候補は全員が区間賞の力
山本有真(25)は5000mで23年ブダペスト世界陸上、24年パリ五輪代表に入ったスピードを武器に、一昨年、昨年と2区で連続区間賞を獲得している。しかし昨年2位と敗れた直後に、「他のチームなら、代表の自分が主要区間を走らなければいけない。新谷さんと早也伽さんに負担を掛けてしまっていた」とコメント。2月には自身初10kmを32分33秒(全日本実業団ハーフマラソン10kmの部優勝)で走り、4月には15分12秒97と3年ぶりに5000mの自己記録を更新した。5月のアジア選手権5000mもそれに迫るタイムで3位と健闘している。
野口監督は山本について、「2区はもう卒業」と明言。「他の区間がしっかりハマって結果的に2区ならいいのですが、今後の積水化学を背負う選手。プレッシャーのかかる区間で勝負させたい」と起用法を話している。
山﨑りさ(23)は5月に5000mで15分26秒17、3000mでも8分59秒30と自己記録を更新した。「大学より練習の設定タイムは速いんですが、余裕度は大きくなっています」と実業団の練習にもしっかり対応している。その一方で「大学まで駅伝メンバーに入れない心配は一度もしませんでしたが、初めて外れるかもしれない“ピリピリ”を経験しています」と緊張感も持っている。
学生時代からトラックで活躍してきたが、小さい頃に高橋尚子さんの書物で感銘を受け、マラソンへの意欲が大きい。前半区間タイプの選手が多いこともあり、マラソンランナーが起用されることの多い5区への山﨑の出場も、可能性は十分ある。
新谷と佐藤のどちらかが10km区間を外れた場合、山本と山﨑のどちらかが10km区間に、もう1人が1区に起用されるのではないか。佐藤も1区の経験が20年(区間3位)と22年(同9位)にある。本人は出場するなら10kmの2区間と話したが、佐藤が1区に回る可能性もゼロではない。
木村も22年に1区で区間賞を獲得し、当時所属していた資生堂の優勝に貢献した。今季は1500mで6年ぶりに世界陸上代表入り。9月まで中距離主体の取り組みだったが、積水化学での駅伝初出走を意識して長めの距離も練習に取り入れていた。「世界陸上後、急に距離を伸ばしたわけではありません」と野口監督。「タイプとしては前半区間向き。1、2、3区で起用できれば」と期待している。
積水化学の1区は誰が走っても、区間上位で2区にタスキを渡すことができる。

















