ベテラン新谷も「クイーンズ駅伝を諦めたくない」

気になるのは10000m日本記録保持者で、5年間で3区区間賞2回、5区区間2位も2回の新谷の状態だ。昨年のクイーンズ駅伝以降一度もレースに出場していないが、新谷から「クイーンズ駅伝出場は諦めたくない。メンバーを譲る気はありません」と、10月下旬に野口監督に申し出があった。

野口監督からは「ウチは(5000mのシーズンベストが)15分40秒でもメンバー入りできないチーム。みんなが納得できるレベルでないと選べない」と伝えたという。新谷がメンバー入りしたときは、区間上位の走りの準備が整ったときだ。

新谷仁美選手

佐藤は9月の東京2025世界陸上マラソンに出場した(13位)。2か月のインターバルとなり、世界陸上に1500mで出場した木村友香(31)、5000mで出場した山本有真(25)を含め、「3人にクイーンズ駅伝に合わせろと言うのは酷」と野口監督も認める。それでも「(多少のマイナスはあっても)ここまで概ね順調」だという。

佐藤自身も「駅伝への切り換えは難しかったですけど、走らないとダメだと思っています」と言い切る。「監督からはどの区間でも行ける準備を、と言われていますが、短い距離の区間は人材がたくさんいます。走るとしたら3区か5区」と自覚している。

昨年の佐藤は3区で区間6位。優勝したJP日本郵政グループの廣中璃梨佳(24)に逆転され、チームも2位と連覇を逃した。「去年の結果は思い出したくありません。今年は倍返ししたい」と、いつものか細い声ながら強い意思を見せる。

佐藤は3月の名古屋ウィメンズマラソンで2時間20分59秒(日本人トップの2位)と自己記録を1分14秒更新し、自身2度目の世界陸上代表入りを決めた。駅伝では苦しい表情でも最後まで粘る走りをしてきたが、名古屋では30km以降でも表情に余裕があった。

「駅伝やトラックレースでは思いっきり体に力を入れて、それは固い走りじゃないんですけど、がむしゃらな走りをしています。マラソンでそういった走りをすると上半身が固まって動かせなくなってしまうので、苦しくてもリラックスして、楽に押して走るところを意識します」

マラソンと駅伝ではスピードが大きく違うので、同じ走りをするのは難しいかもしれない。だがマラソンの「苦しくてもリラックス」する走りを、駅伝でも何らかの形で生かせれば、例年以上の走りができる可能性がある。