蒸しあがったコメは甘く芳醇な香りを放ちながら蔵人たちの手で適正な温度まで冷やすために手際よく広げられ、麴室へ運び込まれました。
この後、酒米は約3日かけて酒の土台となる麹、そして、もろみへと変わっていきます。
杜氏 信木真一さん
「どんどん今から寒くなってくるとは思うんですけどそれが1番酒造りには適した時期になります。夏が暑くてしっかりいいお米が入ってきていますので今年もいいお酒が作れるのではないかなと思っています」

杜氏が「今年もいい酒が作れる」と
顔をほころばせる一方、経営の舵を取る社長の表情は、いつになく険しいものでした。
伝統ある蔵は、今、「かつてない危機」に直面しています。
稲田本店 成瀬以久 社長
「燃料費をはじめ色々なものが上がって特に経費の中で1番のコメ代がものすごく上がっていまして2倍とは言わないんですが近年稀にみる値上がりで本当にどうしようかって」
じわじわと上がる燃料や資材。
さらに追い打ちをかけたのが主食用米への転作などで収穫量が減ったことなどによる酒米そのものの高騰です。

稲田本店 成瀬以久 社長
「どうやって(価格)転嫁していけばいいのだろうかっていう所と、値上げをした時にお客さんがどう反応されるかっていうのが1番心配なところですよね」














