「大きく考え方を変えた」打撃の原点は野茂英雄さん
球場入口から入った正面に、当時の2人のユニホームやレプリカのバット、新聞や写真などが展示され、それらを懐かしそうに見つめるイチローさん。
飾られている写真は、野茂さんは打たれた所。イチローさんは三塁からホームベースに向かっている所。自身の写真を見て・・・。
イチロー:動画じゃないから分からないけど、割と姿勢はいいよね(笑)。俺、19歳。何も考えていない状態だけど。
スタッフ:打っている写真がないっていうのは、野茂さんを撮っていたのかなって。
イチロー:そりゃそうだよね(笑)。
当時の野茂さんのフォークを見て、イチローさんは打撃の考え方を変えたという。
イチロー:当時はまだ“追い込まれてから変化球を待つ”っていうスタンスを取っていないんですよ。だから、その前で仕留めるしかない。僕のことなんて知らないですよ、野茂さんは。そんな選手に初球からフォークは投げてこないことはもう分かっていたから、もう狙っていくしかなくて、それが初球でしょ?
スタッフ:初球の真っ直ぐ。
イチロー:それだけのことなのよね。野茂さんのフォークを見たのは18歳の時だと思うんだけど、1年目に見ていると思う。バッターは基本的に真っ直ぐを待って変化球に対応するっていうスタンスなんだけど、これはダメだと、そのスタンスでは。野茂さんからは絶対に打てない。永遠にやられ続けるっていう感触があったので、そこから僕は考え方を大きく変えたっていう。
スタッフ:変化球を待って真っ直ぐにっていうのは、野茂さんで培われた?
イチロー:大きく考え方を変えたきっかけですね。
そう話して、イチローさんはグラウンドに向かった。レジェンドが姿を現すと、部員たちは大きな拍手で出迎えた。














