注目政策はどこまで実現するか? 議員定数の削減・物価高対策の行方

新政権が発足し、高市総理の下で訴えている政策が実現するかどうかが焦点となっている。今国会あるいは次の通常国会中にスピード感をもって実現できそうなのか。自民・維新の連立合意文書や取材をもとに「〇・△・✕」で分析した。

■議員定数削減 △

維新が連立政権に参加する上で最も重視したのは「議員定数の削減」。吉村代表は「1割を目標に削減する」と主張し、自民・維新の合意文書では「令和7年臨時国会において議員立法案を提出し、成立を目指す」と明記した。一方で野党側は「2党だけで決めて良い話ではない」などとして「丁寧な議論をすべき」と慎重な姿勢を示しているほか、自民党で選挙制度調査会の会長を務める逢沢会長もX(旧Twitter)で「いきなり議員定数削減は論外」と反発を示すなど、与党内でも一枚岩になっていない状況に「成立するかは不透明」との声も上がっている。

■企業・団体献金 ×

維新は「全面禁止」を主張してきた一方で、自民党は「透明化」を主張していて、双方の立場には隔たりがある。合意文書では「高市総裁の任期中に結論を得る」という表現にとどまっていて議論は継続される形となった。取材でも自民党議員からは「企業・団体献金は譲れない」という声が多く上がっていて、厳しい規制強化を実現することは容易ではない。維新担当の記者も「維新はこれまで金に左右されない“しがらみのない政治”を訴えてきただけに(合意文書の書きぶりは)少し折れたという印象がある」と指摘し、ただちに結論を得るのは難しいと分析した。

■減税 △

ガソリン税の暫定税率廃止については、合意文書で「臨時国会中に成立させる」と明記された。ただ、財源問題などで国会では与野党協議が続いていて、与党側は補助金の活用によって実質的に廃止する方向で調整している。

一方、参院選で野党が掲げ注目された政策「飲食料品の消費税ゼロ」については、合意文書では「2年間に限り消費税の対象としないことも視野に検討」という表現にとどまっている。自民党の麻生副総裁などは、消費税の減税に慎重な姿勢をみせていて、実現は一筋縄ではいかないものとみられている。

■2万円給付 ×

合意文書で、行わない旨が明記されている。先の参院選で自民党が「2万円給付」を掲げて戦い大敗に終わるなど、党内からも「評判は芳しくない」という声が聞こえていることから、方針転換となった。