宇宙で酒を醸造する、そんな夢のような計画がいよいよ最終段階です。山口県岩国市の酒蔵・獺祭の「MOON プロジェクト」で、原材料を載せたロケットが26日午前9時ごろ、種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げられます。

獺祭 桜井一宏社長
「地球の外で初めてお酒の醸造ということで私たちも期待してますしすごく楽しい、ちょっとそわそわ落ち着かない感じ」

今月18日、山口市のホテルで開かれた「山口獺祭の会」。全国から280人近くの獺祭ファンが集まった席で、桜井一宏社長はプロジェクトに対する期待を語りました。獺祭MOONプロジェクトは、ISS国際宇宙ステーションで酒を醸造しようという試みです。原材料の米、もろみ、こうじ、水のほかに三菱重工業と共同開発した宇宙用醸造装置がJAXAのH3ロケット7号機に搭載されて打ち上げられます。途方もない計画にも思えますが、これは獺祭にとってひとつの挑戦です。

獺祭 桜井社長
「月に2060年ぐらいから、人が住み始めるらしいと言われていますので、じゃあそこに酒蔵ってあったらいいんじゃないか」

最終的には月で醸造できるよう、ISSで月の環境を再現して実証実験します。

獺祭 桜井社長
「月に研究とか探検とかのために行くんじゃなくて、人が住み始めるという未来を私たちは考えていますので、そこに幸せという面で貢献きるとしたら、その可能性は追求したいですし、それをやるのが私たちにとっての挑戦」

集まった獺祭ファンからも期待の声が聞かれました。

三重から
「宇宙生活が実現したときに、宇宙でも同じ日本酒が飲めたら楽しいですよね」
滋賀から
「会社を経営してる身として、やっぱりそういう大きい夢を掲げてる会社ってすごくステキだなと思っていて。好きなお酒が、そういう大きい夢を掲げてられるっていうのでやっぱりもっとこのお酒を好きになりましたね」
山口市から
「ぜひ宇宙で醸造されたお酒を飲んでみたいですよね。どんな味がするか。山口県の名だたるメーカーとして頑張ってもらいたい」
福岡から
「飲んでみたいなとは思うんですけど、ここに値段が書いてあって、ああーって思って。でも将来的に月に造るようになったら楽しみだなとは思います」

販売価格は、100ミリリットルで1億1千万円です。大吟醸への転換、海外市場への進出、アメリカに酒蔵建設など獺祭は常に挑戦し続けてきました。

獺祭 桜井社長
「私が酒蔵に戻ってきたころも、海外に行くなんかもあんまりピンときてなかったですし、そのころは宇宙に行くなんて全く考えてなかったわけなんです。私たちも想像もつかないような夢ですので、月まで行ったらその先どこまで行くんですかね。私たちもわかんないです」

人類の足跡が宇宙に伸びていく未来が見えてきた今、獺祭の夢も宇宙に広がります。