(10)外交・安全保障

我々が慣れ親しんだ自由で開かれた安定的な国際秩序は、パワーバランスの歴史的変化と地政学的競争の激化に伴い、大きく揺らいでいます。

同時に、我が国周辺では、いずれも隣国である、中国、北朝鮮、ロシアの軍事的動向等が深刻な懸念となっています。

こうした国際情勢の下、世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻します。
日米同盟は日本の外交・安全保障政策の基軸です。日米両国が直面する課題に対し、しっかりと連携し、日米同盟の抑止力・対処力を高めていきます。私自身、トランプ大統領が訪日される機会にお会いし、首脳同士の信頼関係を構築しつつ、日米関係を更なる高みに引き上げてまいります。

また、日米同盟を基軸とし、日米韓、日米フィリピン、日米豪印等の多角的な安全保障協議も深めてまいります。
在日米軍の円滑な駐留のためには、地元を含む国民の皆様の御理解と御協力を得ることが不可欠です。沖縄県を含む基地負担軽減に引き続き取り組みます。普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古への移設工事を進めます。また、強い沖縄経済を作ります。

「自由で開かれたインド太平洋」を、外交の柱として引き続き力強く推進し、時代に合わせて進化させていくとともに、そのビジョンの下で、基本的価値を共有する同志国やグローバルサウス諸国との連携強化に取り組みます。

いわゆるCPTPPについて、戦略的観点から、締約国の拡大に努めます。
重要な隣国である韓国とは、首脳間の対話を通じ、関係強化を図りたいと考えます。
ASEAN諸国との今後の更なる関係強化も進めていきます。

中国は、日本にとって重要な隣国であり、建設的かつ安定的な関係を構築していく必要があります。他方、日中間には、経済安全保障を含む安全保障上の懸念事項が存在することも事実です。日中首脳同士で率直に対話を重ね、「戦略的互恵関係」を包括的に推進していきます。
北朝鮮による核・ミサイル開発は断じて容認できません。また、被害者や御家族が御高齢となる中で、拉致問題はこの内閣の最重要課題です。

全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するために、あらゆる手段を尽くして取り組んでまいります。
ロシアによるウクライナ侵略について、力による一方的な現状変更の試みを許してはなりません。日露関係は厳しい状況にありますが、日本政府の方針は、領土問題を解決し、平和条約を締結することです。

2022年12月の国家安全保障戦略をはじめとする「3文書」の策定以降、新しい戦い方の顕在化など、様々な安全保障環境の変化も見られます。我が国として主体的に防衛力の抜本的強化を進めることが必要です。このため、国家安全保障戦略に定める「対GDP比2%水準」について、補正予算と合わせて、今年度中に前倒して措置を講じます。また、来年中に「3文書」を改定することを目指し、検討を開始します。
防衛力そのものである防衛生産基盤・技術基盤の強化、防衛力の中核である自衛官の処遇改善にも努めます。